夫の不倫相手は520人。難病児と妻を置いて、風俗通いにセフレとラブホ。自殺まで考えた妻と依存症夫の攻防を描くノンフィクション復讐譚【書評】

マンガ

公開日:2025/7/2

 ワンオペ育児中に、夫の不倫が発覚。それだけでも辛い出来事だが、不倫相手が複数だったら? ましてやそれが500人を超えていたら…?

それでも家族を続けますか? 難病児のワンオペ中に、夫が520人と不倫してました』(くさのねむ:原作、あらいぴろよ:漫画/KADOKAWA)は、難病の子を育てる中で夫の衝撃的な裏切りが明らかになるノンフィクションコミックだ。

advertisement

 主人公のねむは、難病の息子をワンオペで育てている。夫のことは「理想の男性だ」と思い結婚したが、ねむの妊娠中は残業続きで出産準備にも無関心。夫は結局、低体重で生まれた子の育児にも協力せず、「経営難」と言って生活費すら入れなくなった。

 そんなある日、夫の鞄から精力剤と避妊具が出てくる。この出来事を皮切りに、夫がマッチングアプリを通じて数百人もの女性と関係を持っていたことが明らかに。

 もう夫婦としてやっていくつもりはないが、息子には希少疾患がある。途方に暮れたねむは自分と息子の命を絶つしかないとまで思いつめるが、「どんなやつらが相手なのか」「全部まとめてリストにしてやる」と怒りのままに行動を開始。

 すると最終的に確認できた不倫相手は驚異の520人で…。

 やがて夫は性依存症と診断され、それを免罪符にねむを攻撃してくる。依存症を抱える家族と向き合うことは想像以上に苦しい。夫はねむや息子と「家族」であることに異様に執着しながらも、妻であるねむの苦しさには目を向けない。そしてねむは「家族だから夫を支えるべきだ」という周囲の声によって精神的に追い込まれていく。

 本作は、ねむと同じように依存症の家族との関係に悩んでいる人にぜひ届いてほしい作品だ。家族なのだから大目に見てやれ、と責められる日もあるだろう。しかし相手の性質は決してあなたのせいではない。

本作を読み進める中で、自分を苦しめる相手との向き合い方のヒントが見つかるかもしれない。

文=ネゴト / くるみ 

あわせて読みたい