「学校に行きたくない。怒られるから……」小1娘が不登校に。娘の心を追い詰めたのは担任教師の態度だった『娘が小1で不登校になりました 先生が怖くて学校に行けない』【書評】
公開日:2025/7/16

自分の子どもが学校に行きたくないと言ったとき、あなたならどんな行動をとるだろうか。
『娘が小1で不登校になりました 先生が怖くて学校に行けない』(ことり/KADOKAWA)は、見過ごされがちな学校現場での子どもの心の揺らぎと、それに寄り添おうとする母親の苦悩を描いた物語だ。
小学1年生になったばかりの娘が、入学から間もなくして学校に行きたがらなくなった。「学校に行きたくない。怒られるから……」と涙ながらに訴える娘。
理由を探るうちに、娘が恐れているのは担任の先生の存在であることがわかってきた。何かわからないことがあっても、「怒られるかもしれない」という恐怖から質問することができない。
さらに、他の子が叱られている様子やクラス全体に向けた厳しい口調の注意も、幼い娘にとっては強いストレスとなっていた。先生に対する不安や緊張が積み重なった結果、ついに教室に足を踏み入れることもできなくなってしまったのである。
本作の見どころは、教育者がつくる環境が子どもの心にどれほど大きな影響を与えるかということが丁寧に掘り下げられている点だ。合わない環境の中で自分を押し殺して毎日を過ごすことは、成人した大人にとっても大きなストレスとなる。ましてや、それがまだ未発達な内面を抱える子どもにとってどれほど大きな負担となるかは想像に難くない。
教育者に求められるのは、単に知識を教えること以上に、生徒一人ひとりが安心して過ごせる場を提供する責任を持つことなのではないだろうか。
不登校の子どもを持つ保護者だけでなく、子育て世代や教育に関わるすべての大人にぜひ読んでほしい作品である。