嫌われ悪女が訳アリ双子王子の継母に!? 癒しもドキドキもシンデレラストーリーも詰め込んだ、家族愛あふれる子育てファンタジー!【書評】

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PR 公開日:2025/7/25

双子王子の継母になりまして ~嫌われ悪女ですが、そんなことより義息子たちが可愛すぎて困ります~
双子王子の継母になりまして ~嫌われ悪女ですが、そんなことより義息子たちが可愛すぎて困ります~青井はな:作画、糸加:原作、月戸:キャラクター原案/スターツ出版

 人は何かと、人や物を見た目で判断してしまいがち。生まれつきの特徴やどうにもならない部分でいわれのない差別が生まれるのは悲しいことだ。でも一方で、ちゃんと中身を見てくれる人だって必ずいる。

双子王子の継母になりまして ~嫌われ悪女ですが、そんなことより義息子たちが可愛すぎて困ります~』(青井はな:作画、糸加:原作、月戸:キャラクター原案/スターツ出版)は、黒髪であることで家族から迫害されていた主人公が、国王の再婚相手に選ばれて双子王子の継母になるという子育てファンタジー。原作ノベルは発売後即重版の大人気シリーズで、2025年6月27日にはついにファン待望のコミカライズ版が発売された。

本作品を試し読み

 本作品の舞台は、人が魔力を持ち当たり前に魔法を使う、魔力の系統が髪色に現れる世界。ここティヴェール=サヴァティエ王国には、主に「攻撃魔法の系統は赤系の髪」「防御魔法の系統は茶系の髪」の2系統がいる。しかし例外もあり、王族に稀に現れ国の発展に寄与するとされる「王族の金髪」と、大罪を犯す者が多いと忌み嫌われる「悪魔の黒髪」は特別視されていた。

 そして主人公ジュリア・レーヴ・ロンサールは、この「悪魔の黒髪」を持つ伯爵令嬢だ。彼女には膨大な魔力と特殊能力があったが、それを隠し目立たぬようひっそりと暮らしてきた。幼少期に実母を亡くしてからは、義母とその実の娘であるカトリーヌに虐げられ、挙句は犯罪者が送られるという北の修道院へ放り込まれそうな状況にまで追い込まれていた。

 だがそんな中、ジュリアに思いもしない転機が訪れる。密かに魔草の研究をしていたジュリアが王立植物園の求人に応募したところ、なんと国王陛下ルイゾン・レジス・サヴァティエの再婚相手に選ばれたというのだ。

 彼女は身に覚えがなく、王妃に選ばれたことは何かの間違いではと考えるが、どうやら間違いではないらしい。しかも選ばれた理由が、4歳になる双子王子・ロベールとマルセルの継母になってほしいという願いで――!?

 最初は無理だとお断りしていたジュリアだが、王族でありながら魔力を持たない銀髪の王子ふたりと対面し、そのあまりの可愛さに心を射抜かれてしまう。

 さらには国王陛下からふたりが置かれている境遇を聞き、「――私 王子たちの継母になります!」と王妃となり継母を引き受ける決意を固めたのだった。王子たちは、銀髪であることに加えて前王妃が出産と同時に死亡したことも相まって、「災いをよぶ」と差別を受けていたのだ。

 双子王子が可愛すぎる天使なのはもちろんだが、ジュリアは自身が髪色で差別を受けてきたからこそ、差別を受ける王子ふたりのことが放っておけなかったのだろう。そしてそんな中でも自分ができることを考え真っ直ぐに育ってきたジュリアだから、国王陛下に選ばれたのだ。見た目で判断する人が多いのは事実だが、そうでない人がいるのもまた事実。ジュリアが、そして双子王子がそうした相手に出会えてよかったと心から嬉しく感じた。

 とはいえ、魔力を持たない銀髪王子ふたりの継母が黒髪という状況。これで前途多難でないわけがない。実際、王子たちの話からも、すぐにふたりの置かれている状況が予想以上に異常であると伝わってきた。さらに第5話では、「ジュリア様を逆恨みする者がおります」という忠告まで受けてしまう。

 ジュリアは無事双子を守ることができるのか、「逆恨みする者」とは何者なのか、これからどんな試練が待ち構えているのか、まだまだ気になることばかり。今はあくまで継母を引き受けるため「契約結婚」をしているジュリアと国王陛下だが、今後ふたりの関係がどう変化していくのか。そして天使な双子の成長を、引き続き見守っていきたい。

文=月乃雫

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