岩田剛典さんが選んだ一冊は? 「登場人物の“生き様の美学”に 読むと気が引き締まります」

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公開日:2025/7/20

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年8月号からの転載です。

 2006年の連載開始時から『キングダム』を愛読している岩田さん。「コミックスが待ちきれなくて、雑誌で追いかけています」と言うほどの大ファンだ。

「昔から歴史物のマンガやゲームが好きで。激動の時代を生きる人のドラマを見ると、勇気づけられるんですね。特に『キングダム』は、登場人物一人一人の"生き様の美学”が描かれている。自分が怠けている時期に読むと気が引き締まります」

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 一番惹かれたキャラクターは、秦国の六大将軍の一人・桓騎だ。

「かつて大野盗団の首領だった桓騎は、一見残忍ですが、仲間たちには底抜けに優しいんです。彼らと、血はつながらなくとも"家族”のような強い絆を築いている。仲間たちは、"お頭”の桓騎を慕い、彼の思いに応えて戦う。桓騎のリーダーシップに、僕はとてもロマンを感じます」

 桓騎が戦場で仲間たちに言う「心配すんな。(中略)全部 上手くいく」も心に刺さった。

「相手のポテンシャルを引き出す名言ですよね。不安な時にこそ、こう声をかけてもらいたい。桓騎は本当にナイスガイです。現代人である僕は、彼ほど一生懸命に生きられているでしょうか。桓騎のような立派な人間になれたらいいなと思います」

 今、岩田さんが全力で向き合っているのは、ドラマ『DOCTOR PRICE』だ。岩田さん演じる主人公・鳴木は、医師の職を辞し、医師専門の転職エージェント会社を立ち上げた一癖ある人物。

「原作マンガの鳴木のビジュアルに近づけたくて、ウィッグを着けています。僕は、鳴木はダークヒーローだと思っています。医師を商品のように病院に売りさばく。口も悪いし、人使いも荒い(笑)。でも彼が病院と交渉することで、医療業界の"悪”が見えてくる。かつてない角度から医療業界に切り込む、ニュータイプの医療ドラマになっています」

 サスペンス要素も、本作のもう一つの軸だ。医師だった鳴木の父は、医療過誤を起こし自殺。鳴木は父の死に疑念を抱き、その真相を探る。
「真の目的を秘めた鳴木の心の熱量を大切に演じたいですね。非常にスリリングな展開ですから、毎回の放送をきっと楽しんでご覧いただけると思います。また、本作で描かれる医療過誤や医療スタッフの労働環境、医療とお金は、現実社会でも深刻な問題になっています。僕自身、そういったことも鳴木役を通してもっと学んでいければと考えています」

取材・文=松井美緒、写真=TOWA
ヘアメイク=長島由香〔MARVEE〕、スタイリング=椎名倉平(ONWA)

いわた・たかのり●1989年、愛知県生まれ。三代目 J SOUL BROTHERSのメンバーのほか、俳優としても活躍。16年『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』で映画初主演を務め、第40回日本アカデミー賞の新人賞俳優・話題賞などを受賞。近年の主な出演作に、連続テレビ小説『虎に翼』、公開待機作に主演映画『金髪』など。

『キングダム』(1~75巻)
(原 泰久/集英社ヤングジャンプC)594〜770円(税込)
紀元前の中国、春秋戦国時代。下僕出身ながら天下の大将軍を志す信と、まだ誰も成し遂げたことのない中華統一を目指す若き秦国王・嬴政。二人の夢は、楚、燕、韓、魏、趙、斉の周辺6カ国の命運を巻き込みながら壮大な未来へと向かう。最新巻では、戸籍作りで大軍勢を生み出した秦が韓への進攻を開始する。

『DOCTOR PRICE ドクタープライス』

原作:逆津ツカサ 
作画:有柚まさき『DOCTOR PRICE』(双葉社 アクションコミックス) 
出演:岩田剛典 蒔田彩珠 三浦貴大 成海璃子/北山宏光・林 泰文 坪倉由幸/ユースケ・サンタマリア 篠原涼子 
7月6日スタート 毎週日曜22時30分〜23時25分 読売テレビ・日本テレビ系全国ネット
●医師専門の転職エージェント会社「Dr.コネクション」を立ち上げた鳴木金成。巧みな交渉で医師を病院に売り大金を稼ぐ。実は彼は、父の起こした医療過誤に疑念を抱き、真相を追っていた。

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