FANTASTICS・中島颯太さんが選んだ一冊は?「この本の教えは僕の礎になっています」

あの人と本の話 and more

公開日:2025/7/21

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年8月号からの転載です。

人としての大切なことが書かれた一冊 

「きっかけはドラマでした。SEAMOさんが歌う主題歌の歌詞もすごく心に響いてきて。原作も含め、全部が今の僕の礎になっています」

 平凡な人生を送ってきた“僕”の前に突如現れた、ゾウの姿をした神様・ガネーシャ。成功するために実行すべき事柄を毎日一つずつ説いていくこの小説を、中島さんは小学生の時に手にしたという。

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「自己啓発本というと難しく感じるかもしれませんが、ガネーシャがなぜか関西弁で、小学生ながらスッと頭に入ってきました。それに彼の教えは『会った人を笑わせる』とか『トイレ掃除をする』とか簡単なものばかりで。人として当たり前の生活を送るというすごくシンプルなことが大事なんだとわかり、以来、僕も意識して実践するようになりました」

 自分が幸せになるためには、まず、周りの人のためになることをする。これは中島さん自身がずっと両親から教えられてきたことでもある。

「『誰も見てなくても正しいと思うことをしなさい』と言われて育ちました。『それは全部繋がってるから』と。僕の家には昔からガネーシャが二人いたような感じでした。いや、両親も自分らをガネーシャだと思い込んでいたのかもしれないです(笑)」

 古い価値観で偏見の塊のような誠(原田泰造)をアップデートしていく『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』が昨年のドラマに続き、映画化。中島さんは誠を変えていくゲイの青年・大地を演じた。

「ドラマのスタート時は、まだ誠さんに共感する声も多かったんです。でも今、第一話を見返すと、誠さんのあまりの偏屈さに驚きます(笑)。それぐらい僕も視聴者の方々もこの作品を通してアップデートされていたわけで。そうした反響が映画化にも繋がったのかなという気がします」

 今作では、パートナーと遠距離中の大地が誠に不安を見せる場面も。

「かつて同性愛者に偏見を持っていた誠さんですが、今では大地と互いに支え合う関係性が濃くなっていて、心が温かくなりました。他にも、登場人物たちのいろんな悩みが描かれていますので、どこかに共感できるところがあると思います」

 言動が聖人君子のような大地。難しい役どころだが、中島さんにとって地上波の連続ドラマは初挑戦だった。

「大地の言葉は全部が勉強になるし、演じていて楽しいです。それにこの先も役者を続け、自分の原点を思い出す時、この大地が軸になっているのは本当に幸せなことだと思います」

取材・文=倉田モトキ、写真=TOWA
ヘアメイク=朴映宣(Luana)、スタイリング=中瀬拓外

なかじま・そうた●1999年8月18日生まれ。大阪府出身。2017年、FANTASTICSにボーカリストとして加入。EXILE TRIBEメンバーによるユニットEXILE B HAPPYとしても活動。舞台、ドラマなど幅広く活躍し、現在アニメ『かいじゅうせかいせいふく』に出演中。舞台『BACK TO THE MEMORIES PART5』が7月9日まで上演。

『夢をかなえるゾウ1』
(水野敬也/文響社)968円(税込)※文庫版の価格。単行本版も発売中。
シリーズ5作の累計は560万部を突破。ドラマ化や舞台化、アニメ化もされるなど、異例の大ヒットを記録した自己啓発小説。うだつの上がらない生活を送る僕の前に現れたゾウの神様・ガネーシャ。名だたる偉人を育ててきたという彼は、人生で成功するための教えを説く。しかし、それはどれも地味なものばかりで……。

©練馬ジム | LINEマンガ・2025 映画「おっパン」製作委員会
©練馬ジム | LINEマンガ・2025 映画「おっパン」製作委員会

『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』

原作:練馬ジム『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(『LINEマンガ』連載) 
監督:二宮 崇 
脚本:藤井清美 
出演:原田泰造、中島颯太(FANTASTICS)ほか 
配給:ギャガ 絶賛上映中
●大地との出会いによって、“昭和脳”だった古い価値観をアップデートしていった誠。そんな彼の前に、かつて誠のパワハラで心に傷を負った元部下の佐藤が取引相手として現れる。また、大地も遠距離結婚に不安を抱えはじめ……。

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