皇居ランで挫折しかけた初心者、ホノルルマラソンに挑む。成長の軌跡を描いたコミックエッセイ【書評】
公開日:2025/7/31

『新装版 たかぎなおこライブラリー マラソン1年生』(たかぎなおこ/KADOKAWA)では、深刻な運動不足に悩まされていた著者がホノルルマラソンに挑戦するまでの奮闘と成長の過程がやさしいタッチで描かれている。
小さいころから運動が苦手だった著者。学生時代は硬式テニス部に所属していたがまったく活躍できず、社会人になってからはますますスポーツから遠ざかる日々。スポーツクラブに通ってみても長続きせず、通勤なしの在宅ワークの仕事スタイルが運動不足に拍車をかける。
年齢を重ねるごとに、ひそかに「このままではまずい」と焦っていた著者の目にふと留まったのが、ちょうどテレビで放送されていた東京マラソンの中継だった。笑顔で走るランナーたちの生き生きとした姿に心を動かされた著者は、自分もマラソンに挑戦しようと心に決める。
本作の見どころは、長距離を走ることの難しさ、そして楽しさが、運動初心者の視点から非常にわかりやすく掘り下げられている点だ。運動の習慣がほとんどない人にとって、マラソンへの挑戦はかなりハードルが高い。何から始めればいいのか、どこまで自分にできるのか――そんな不安を抱えたまま、著者は一歩を踏み出した。
とはいえ、蓋を開けてみれば、まずは地道な努力の積み重ねだ。ウェアやランニングシューズを探し、形から入ることでモチベーションを高める。いきなり無理をして挫折しないよう、まずは近所をウォーキングすることからスタート。少しずつペースをつかみながら、地味な練習を続ける日々が始まる。
本作は、小さな変化の積み重ねがいつか大きな自信になることを、著者の体験を通して教えてくれる。運動を始めるきっかけがなく悩んでいる人はぜひ本作を参考に、生活の中に少しずつ運動を取り入れてみてはいかがだろうか。
※作中の表現や大会情報、店舗情報などのデータは、執筆当時(2009年)のまま掲載しています。