どちらかの家庭が崩壊する。先に答えが提示されるシーソーゲームが猛烈に面白いと話題!【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/7/28

「エリート夫」と「無職夫」。正反対の夫を持つ妻たちに巻き起こる騒動とは!? SNSで話題沸騰のファミリーサスペンス『どちらかの家庭が崩壊する漫画』(横山了一/KADOKAWA)。娘のリエが生まれ、幸せ絶頂なはずの薬師寺家の妻ユイ。ところが、善意を押し付ける義母、マザコン夫シュウの不倫など、穏やかではない出来事が次々と降りかかり、我慢を強いられ…。そんなとき、助っ人として現れたのが毒山(ぶすやま)夫妻だった。コワモテのゴン&ヤンキー口調のマリンの協力を得て、ユイは不倫夫、そして非常識な義母を成敗できるのか? さまざまな家庭トラブルに共感しつつ、毒山家による堂々たる格闘とギャグで読後はスカッとした気分に! “モヤモヤ”と“スリル”が止まらない本作への想いを著者の横山了一さんに聞いた。

――上下のコマで薬師寺家と毒山家のストーリーがそれぞれ進み、2つの家庭を比較できる面白さがあります。どんな経緯でこのスタイルに?

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横山了一さん(以下、横山):子どもが小さい頃、ページをタテに2分割して話が別々に進んでいく絵本を見かけたんです。対照的な家族の話がそれぞれ進み、のちにうまく絡んでいったら面白いなと思い、アイデアをお借りしました。“家庭崩壊”をコンセプトにしたのは、ネットで読む人にウケが良さそうだから。先に答えを提示すれば、先が気になって話を追ってくれるかなと思いました。

――優しいエリート夫のシュウと、パチンコばかりで無職夫のゴン。最初はゴン側の崩壊が明らかでしたが、話が進むごとに「表向きは優しいけど身勝手なシュウ」と「外見はゴツいし言葉は乱暴だけど家族思いのゴン」が浮き彫りになり、立場が逆転していきますね。

横山:シーソーゲームのイメージです。最初はエリートサラリーマンと、ギャンブル好きでドンキホーテ辺りにたむろっていそうなヤンキーみたいな感じで登場し、崩壊するのはこっちかな?と思わせておいて、もう一つの家庭がおかしくなってくるという。どちらが崩壊するのか分からないようにしたかったんですよね。デヴィッド・フィンチャー監督の映画『ゲーム』で主人公に起こっている事態が、現実なのかゲームなのかがわからなくなるんですが、それと同じで、ハラハラしながら話が進みます。

――たしかに、シュウがいい人なのか、ゴンが悪い人なのか、読んでいるうちによく分からなくなります。ハラハラの展開は先々まで決まっていたのですか?

横山:ただ、僕のマンガでは大体コワモテのキャラがいい人なので、読者は見抜くんですけどね(笑)。それでもハラハラさせたくて。描き始めた当時は1日1話、SNSにアップしながら話の展開やキャラのイメージを固めていきました。どちらかの家庭が崩壊したら終わろうと思っていましたが、ユイの義母が出てきてから、それでは消化不良になる気がして。ユイの成長ストーリーがだんだん膨らんでいきました。

取材・文=吉田あき

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