「落ち着けタコ!!」と怒鳴りながらシーツを替えるコワモテ夫!? 著者自身の実体験をもとにした“育児あるある”に共感必至【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/7/29

「エリート夫」と「無職夫」。正反対の夫を持つ妻たちに巻き起こる騒動とは!? SNSで話題沸騰のファミリーサスペンス『どちらかの家庭が崩壊する漫画』(横山了一/KADOKAWA)。娘のリエが生まれ、幸せ絶頂なはずの薬師寺家の妻ユイ。ところが、善意を押し付ける義母、マザコン夫シュウの不倫など、穏やかではない出来事が次々と降りかかり、我慢を強いられ…。そんなとき、助っ人として現れたのが毒山(ぶすやま)夫妻だった。コワモテのゴン&ヤンキー口調のマリンの協力を得て、ユイは不倫夫、そして非常識な義母を成敗できるのか? さまざまな家庭トラブルに共感しつつ、毒山家による堂々たる格闘とギャグで読後はスカッとした気分に! “モヤモヤ”と“スリル”が止まらない本作への想いを著者の横山了一さんに聞いた。

――ゴンはコワモテの無職ですが、実は家族思いというギャップがいいですね。「落ち着けタコ!!」と妻マリンに乱暴な言葉を吐きながら、息子が濡らしたシーツをテキパキと器用に替える場面では笑いました。

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横山了一さん(以下、横山):僕自身、まだ小さかった子どもが吐いちゃって、夜中に何回もシーツを洗ったことがあったので。それをヤンキーがやっていたら面白いかなと。赤ちゃんのオムツを替えるとき、男子のおしっこが飛んでくるっていうのも実際にあった話。育児のリアルなエピソードは大体、僕の実体験がもとになっています。真剣なシーンが続くとこちらも緊張しちゃうので、ついギャグを入れたくなりますね。もともとはギャグ作家ですし。

――育児にも家事にも積極的なゴンは愛されキャラだと思います。

横山:なんだかんだ女性に優しいところもありますからね。ユイが毒山家に逃げ込んできたときも、鳥を一羽まるごとさばいてご馳走を振る舞おうとしましたし。そこはキャラの魅力として描きました。話が切ないシーンだけにならないように、彼のような明るめのキャラを配置しています。

――そんな夫・ゴンを持つマリンは、ゴンが全然職につけないので自分が働きに出ます。

横山:実はメインキャラ4人の中でいちばんまともな人間かもしれませんね。見た目はヤンキーですけど、バランスが取れている人。家出したユイを追って義母の聡子が乗り込んできたときには、正論で聡子に立ち向かうという見せ場もあります。口は出すけど、手は出さないんですよ。読者人気も高いです。僕の漫画では大体、さっぱりしたレディース出身みたいなキャラが人気を得るので。

――マリンとユイが働く虎乃(ゴンの母親)の店ではよくカラオケが歌われています。これには元ネタがあるのでしょうか?

横山:“ミモザ”っていうカラオケスナックの名前や、後半に出てくる“北極星”っていうカフェの名前は、どちらもゴスペラーズの曲名からつけました。ゴスペラーズの黒沢薫さんが僕の漫画を読んでくださっていたので、ゴスペラーズのネタがちょいちょい出てきます。カラオケの曲はノリですね。ミスチルとかaikoとか。著作権があるので歌詞を変えてますけど、見る人が見たら分かるかもしれません。

取材・文=吉田あき

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