仮面で得た能力で、“師匠の遺品”を壊す旅へ! アニメ化決定の正統派バトルファンタジー『朱色の仮面』

マンガ

PR 公開日:2025/7/25

朱色の仮面
朱色の仮面那波なばな (著), Dr.Poro (著) / 少年画報社

 漫画を那波なばな氏、原作をDr.Poro氏が手がけ、少年画報社「ヤングキングアワーズ」で連載中の漫画『朱色の仮面』のアニメ化が発表された。監督に『ブルーロック』第1期の渡邉徹明氏、シリーズ構成に『Fate/strange Fake』の大東大介氏と、スタッフ陣は錚々たる顔ぶれで、期待感の高さが伝わってくる。渡邉氏がもともと作品の大ファンで、「どうしても自分の手でアニメ化を」と熱望していたという。

 主人公は、つけた者に力を与える仮面が存在する世界で行商をする、“旅の仮面職人”ペル。ふと手に取った“武神の仮面”に操られて仲間と師匠を殺めてしまった過去を持ち、「師匠の仮面をすべて壊す」ことを目的に、絶望のなかで旅を続けている。仮面職人として一人前になりきれないペルにやさしい言葉をかけてくれた師匠。その師匠の命を自らの手で奪ってしまった後悔の大きさは計り知れない。ペルの表情がふと曇るたびに行き場のない悲しみが感じられ、がむしゃらに突き進む彼の旅を見届けたくなる。

 伝説の仮面職人と言われた師匠ガストン・ルーの仮面は世界中に散らばっており、それを奪い、壊すには、強敵たちとの戦闘を避けては通れない。孤独で過酷な旅。しかし、ともに旅を続けてくれる仲間たちとの出会いもある。かつては一国の王女だったソナもその一人だ。今は街で盗みを働いているが、消し去ることのできない暗い過去を持っており……。彼女もまた、とある仮面を被ることになる。

 本作の魅力はなんといっても「仮面をつけると能力が使える」点にある。仮面によって現れる能力は異なり、原作の1巻には、建物を駆けのぼって高所を移動するなど驚異の運動能力が現れる「蜘蛛の仮面」や、暗闇でも目が使えて鋭い爪による攻撃が可能となる「猫の仮面」などが登場していた。これらの異能力に音や動きがつけば、圧倒的な迫力が生まれることは間違いなく、アニメでも戦闘シーンが楽しみでならない。

 そもそも仮面とは、別の者になり代わることができるもので、日本で言えば能面がぱっと思い浮かぶだろうし、世界では昔から呪術などにも使われていたそうだ。想像してみてほしい。“別の者になり代わった”と心から思ったときに、自分がどう変わってしまうのかを。そこには、得体の知れない恐ろしさがあるはずだ。人を超越した力を与える仮面は、正義だけに使われるわけではない。使い方によっては狂わされ、災いを呼ぶ。ある意味で、この世界の人たちは仮面に翻弄され、操られているのかもしれない。仮面という存在の怪しさと未知の可能性を最大限に生かしている点も本作の大きな魅力だろう。確かな画力で描かれるダークファンタジー的な世界観も、本作を語る上で重要なポイントだ。

 かつて仮面職人として半人前だった主人公ペルは、自身へのコンプレックスを抱えている。それが、仮面によって強くなるところには夢があり、応援したくもなる。原作は8巻まで刊行されており、序盤から強敵が現れるなど惜しみない展開で、先が気になって仕方がない。ペルたちは旅を続けるなかで過去の悲劇とどう向き合うのか。仮面に操られる世界はどこへ向かうのか。原作を読みながらアニメ化を待とう。

文=吉田あき

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