推しからの甘いアプローチにドキドキが止まらない! 「推しは恋愛対象外」のヒロインとイケメン王子のすれ違いむずキュンラブコメ!【書評】
PR 公開日:2025/8/7

推し活ブームの昨今、推す相手はアイドルからアニメキャラまで様々ですが、中には同じ学校や会社の人を“推す”人も!? 『推しがとなりで寝てまして』(青井よる:作画、雨乃めこ:原作/スターツ出版)の推しは同じ学校に通うイケメン王子。芸能人と同じくらい雲の上の存在だと思っていたその推しと、ひょんなきっかけから距離を縮めていく物語。対象が誰であれ、“推し”がいる人なら共感必至の要素が詰まった1冊です。
主人公・白井初花は高校2年生。3年前、ずっと思い続けた幼馴染に大失恋。なかなか立ち直れず、恋愛どころか男の子と接すること自体苦手になってしまいます。そんな時に見つけた推しが、同じ学年の王子様・柳瀬織。イケメンかつ高身長、口数が少なくミステリアスなところもまた魅力と女子の注目を集める存在です。
織くんの話を友達とキャーキャー話しているだけで大満足の初花。しかしシングルマザーでもある母親が海外へ3か月の長期出張へ行くことに。その間母の同僚の家に住まわせてもらえることになったのですが、そこに住んでいる“同い年の息子”というのが……。


何を隠そう柳瀬織その人。そうして初花は刺激が強すぎる日々を送ることになるのです。
クールな王子が家では……推しのギャップが強すぎる!
学年一の美女からの告白も一刀両断する、クールどころか冷たい印象まである織くん。しかし初花の前では最初から甘さ全開。学校では見たことのない笑顔を見せてきた上に、あくまでも織くん=推しとして敬語で話す初花に向かって「次敬語話したらその口塞ぐ」という心臓に悪い冗談(?)まで。


人間全般に興味がなさそうに見えていたのに、初花を毎日学校まで連れて行ってくれるなどなにかと面倒を見てくれるのも良いギャップ。織くんと一緒にいるところを見られたら織くんファンに目を付けられるかもしれないという初花には「俺がちゃんと守るよ」と一言。

クールでミステリアスだと思っていたところからのアツさと優しさに、キュンが止まりません。
同担でも許しちゃう!? 初花の可愛らしさと謙虚さ
同級生と言えど、ある日突然推しと同居するという羨ましい展開に遭遇する初花。しかし彼女のことを見ていると「ずるい!」より「頑張って!」の気持ちになってしまうのは初花がどこまでも推しとの距離感を保とうとするオタクだから。
同居が判明した瞬間、織くんに「“推し”って好きってこと?」と聞かれた初花はそれを秒で否定。「推しへの好きは恋愛としての好きとは違う」と断言します。さらに推しは恋愛対象外だと聞かれてもいないのにさらに明言。その「あわよくば」感のなさは謙虚からくるのか、天然だからなのか? 学校では他のファンのことを考慮して織くんと距離を取ろうとするところにも優しさがにじみ出ます。

一方で自分がいかに推し=織くんから毎日元気をもらっているかは照れずに本人に伝える初花。そのストレートに気持ちを伝える笑顔がとても可愛らしく、「推しはこういう人と幸せになってほしい!」と心の中で勝手に太鼓判を押してしまいました。
ある日学校イチのイケメンと同居することに…というのは少女漫画では時々見られるパターンですが、そこに“推し”という要素が加わることでよりポップに、かつ初花の気持ちに感情移入しやすくなっている印象。なぜ織くんは初花に甘いのか、同居が終わったらふたりはどうなるのか!? などストーリーも気になることばかり。ぜひふたりの同居ライフを見守ってみてください。
文=原智香