ドクターに“ガチ恋”、大声でクレーム。美容クリニックで起きるクレーム案件にハラハラ【著者インタビュー】
公開日:2025/8/13

とある美容クリニックで10年以上勤務し、自身も整形手術を受けた経験があるパチ美さん。その経験をもとに原案を手がけた『女の人生に整形って必要ですか?〜美容整形の裏側がカオスだった話〜』(パチ美:原案、金子べら:漫画/新潮社)の1巻が、2025年8月7日に発売! ひょんなことから看護助手として美容クリニックで働くことになった主人公を通じて、個性的なドクターやスタッフ、患者たちが引き起こす事件をポップなテイストで描いた話題作だ。美容整形が限られた一部の人が行うものから、身近なものへ。そんな過渡期に美容クリニックで働いてきたパチ美さんに、働いてきたからこそわかる美容クリニックの裏側を聞いた。
※書籍出版当時の個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。専門情報や個々人の体質・体調に合わせた改善策は、各医療機関等にご確認ください。
――本作の冒頭ではクリニックの前で「大失敗された!」と騒ぐいわゆるモンスタークレーマーの方が登場しますが、印象に残っているクレーム案件はありましたか?
パチ美(以下パチ美):ドクターに本気で恋愛感情を抱いてしまっている、いわゆる“ガチ恋”している方がカウンセリング中にドクターの結婚指輪を食べちゃったとか、「病院に火をつけてやる」と一日中怒鳴っている人が現れたりということでしょうか。センセーショナルな展開は時々ありましたね。
――その原因はやっぱり「仕上がりに納得がいっていない」からなのでしょうか?
パチ美:それもありますが、美容整形って長く通われる方が多いんですよ。親子二代で通われている方もいたりして。そうなるとドクターとの信頼関係が出来上がっていきますよね。それが長くなればなるほど、何かが起きてその信頼関係が壊れた時に態度が豹変する、という展開になってしまうんです。「扱いが雑になった」とか「前までは真剣に話を聞いてくれていたのに、最近やたら高額のオペばっかり勧められる」といった思いから過激なクレームにつながっていく印象です。
――美容クリニックでも働かれて、美容整形の経験もあるパチ美さんですが、トラブルにならないためにどうしたらいいと思いますか?
パチ美:一番重要なのは事前の情報収集だと思いますね。例えば「目を二重にしたい」と思ったとして、術式もさまざまだし値段も全然違うので。その中から自分に合ったクリニックを見つけるのが、一番大切だし一番難しいことだと思います。そのためにはまずホームページを見て、カウンセリングに行って、「信頼できるドクターか、自分に合うか、きちんと話を聞いてくれるか」を見極めることが大切だと思います。ホームページで見るべきポイントは、術前術後の場所・角度・明るさが揃っている症例写真が載っているかが判断基準になると思います。また、ドクターの経歴を載せているところも多いですが、個人的には初期研修を終えてすぐに美容医療に進むことを指した“直美”のドクターはできれば避けたいです。
――ホームページも重要なんですね。
パチ美:そうです。あとは整形に夢を見過ぎないこと。なりたい顔があっても、骨格が違うと絶対になれないので、自分の理想の顔と実際できる顔を見極めて、事前にドクターとすり合わせていくことが大事だと思います。そうしないと、オペを繰り返しても理想の顔になれなくて、苦しむパターンが多いです。
取材・文=原智香