「整形って必要?」美容クリニック勤務・整形経験済みの美容整形漫画の原案者が思うこと【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/8/16

 とある美容クリニックで10年以上勤務し、自身も整形手術を受けた経験があるパチ美さん。その経験をもとに原案を手がけた『女の人生に整形って必要ですか?〜美容整形の裏側がカオスだった話〜』(パチ美:原案、金子べら:漫画/新潮社)の1巻が、2025年8月7日に発売! ひょんなことから看護助手として美容クリニックで働くことになった主人公を通じて、個性的なドクターやスタッフ、患者たちが引き起こす事件をポップなテイストで描いた話題作だ。美容整形が限られた一部の人が行うものから、身近なものへ。そんな過渡期に美容クリニックで働いてきたパチ美さんに、働いてきたからこそわかる美容クリニックの裏側を聞いた。

※書籍出版当時の個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。専門情報や個々人の体質・体調に合わせた改善策は、各医療機関等にご確認ください。

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――本作の冒頭で主人公に対し、整形体験のある友人が「何かしてる人としてない人で差がつくのは当然なのでは?」と話します。この言葉が非常に印象的でした。

パチ美さん(以下パチ美):これは漫画を担当してくれた金子先生が描いた言葉なのですが、私自身もグサッときました。いいセリフですよね。1巻後半にはこの友人との学生時代のエピソードが入っているのですが、主人公は学生時代、自分の目が一重であることに悩み始めるんです。一重二重問題で悩んでいる女子ってとても多いと思うので、共感しながら読んでもらえるんじゃないかなと思います。

 美容整形って楽をしていると思われがちですよね。例えば「脂肪吸引するくらいなら普通にダイエットすればいいのに」と言われることって多いと思うんです。ただ実際はすごく努力と勇気がいることで、それを乗り越えられる人って私はちゃんと評価されるべきだと思っています。

――努力と勇気がいるというのは具体的にどういうことですか?

パチ美:金銭面もそうですし、働く中でダウンタイムに苦しむ人も多く見てきました。特に脂肪吸引って、本当にダウンタイムが辛いんですよ。太ももとお尻は術後グルグル巻きで固定された状態が最低1ヶ月は続きます。固定した部分は外せないので、用を足すにはお尻と股のところに切れ込みを入れておいて、そこからするのでどうしても汚れてしまいます。術後は痛いし熱を持つし、夏場とかは中が汗だくだし……。もはや自分との戦いですよね。そうした辛いダウンタイムを乗り越えられる方を本当に尊敬します。

――そんな美容整形の裏側も見てきたパチ美さん。本作のタイトルは『女の人生に整形って必要ですか?』ですが、パチ美さんは整形が必要だと思いますか?

パチ美:このタイトルは編集さんが決められたものです。私自身の初めての整形手術は二重の手術なのですが、元々二重ではあるんです。他人から見たら「そんなに変わる?」と思われることかもしれないし、自分自身「これって本当に自分にとって必要なことなのか?」と術前、すごく悩みました。しかし、結果自分の中で必要と思ったから、決意してやったわけなので、このタイトルはすごく心に刺さりましたね。ただ女性にとって必ず必要とは思いません。誰になんと言われようと、自分にとって必要だったら必要だし、必要じゃなかったら必要じゃない。自分の気持ちを大切にしてもらいたいと思います。

取材・文=原智香

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