転移したら男女比1:5のハーレム世界だった。無自覚たらし男 vs. 激重女子たちの予測不能恋愛サバイバル【書評】

マンガ

公開日:2025/8/22

 もしこの世界に男がほんの一握りしか存在しないとしたら、普通の男性がそのまま生きていくことは可能なのだろうか。『男女比1:5の世界でも普通に生きられると思った? ~激重感情な彼女たちが無自覚男子に翻弄されたら~』(三藤孝太郎:原作、桃季憂:漫画、jimmy:キャラクター原案/KADOKAWA)は、そんな異常で刺激的な問いから幕を開ける、予想以上に“重い”ラブコメディだ。

 主人公・将人が転移したのは、女性が圧倒的多数を占め、男性が希少となったパラレルワールド。男性たちがふんぞり返る中、元の価値観を持つ彼だけが、女性たちを対等に扱う。自然で優しい姿が、女性たちの心を射抜いていく。その様子が、読めば読むほど面白い1冊だ。女子大生、女子高生、女子中学生、OL……さまざまな年代、属性のヒロインたちが登場するのだが、それぞれが一途で、どこか“ヤバい”一面を秘めている。

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 表向きは爽やかな恋模様なのに、裏側で蠢くのは、ストーカーまがいの執着、嫉妬、独占欲……その濃密で危うい空気が読者を引き込み、ページをめくらせる。一歩間違えれば刺されそうな、ヒリヒリとした女子たちの緊張感と、主人公の鈍感でお人好しな言動が、予想以上の化学反応を巻き起こしてくるのだ。

 例えば、同じ大学の友人・恋海(こうみ)は、面倒見がよく、凛とした美少女だ。上から目線の男性たちに嫌悪感を抱き、「男なんて……」と一線を引いてきた。ところが、将人と出会うことで、自身の中に潜んでいた嫉妬心が芽生え、予想もしなかった自分と向き合うことになる。このように女性たちが彼と関わるたび、どんどん沼へ沈んでいく様こそが、この作品の見どころとなっている。

 単なるハーレムものではない。ヒロインたちの“重すぎる”感情と、平凡ながらも無自覚なたらしとしての主人公の魅力が、物語を一層味わい深いものへと引き上げている。一筋縄ではいかないヒロインたちの愛と執着、そして予想を裏切る次なる展開。こんなにも重たい愛を向けられて、この先どうなってしまうのかが気になって仕方がない。

 一言でまとめるなら、「無自覚たらし込み男 vs. 激重ヒロインたちの予測不能サバイバルラブコメ」。読めば必ず、「次はどうなる!?」と身を乗り出してしまう、そんな一作だ。

文=ネゴト / すずかん

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