母親の強すぎる正義感が問題を引き起こす…公園で起きた不穏な事件の始まり【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/8/27

 子どもが小学校に入学するタイミングで郊外の住宅地に家を買ったとある家庭。主人公・平川里奈は、近所のママ友や町内会の人たちに溶け込み、順調なスタートを切っていた。しかしある日、公園で自分の子どもを激しく叱責する女性を咎めたことをきっかけに日常に変化が。数々の嫌がらせを受けるようになった里奈は、口論になった女性が犯人だと疑い、証拠を掴むために行動を起こしていく。しかし事態は思わぬ方向へ展開し……。閑静な住宅地という閉鎖的な人間関係から悪意のない誰かの行動が人を傷つけていくという人間関係の本質を描く『この街の誰かに嫌われています』(グラハム子/KADOKAWA)。サスペンスセミフィクションである本作誕生の経緯から自身の体験まで、著者であるグラハム子さんにお話を伺いました。

――本作は主人子が子どもに手を上げる母親を公園で目撃するところから物語が動いていきます。このシーンはどのように生み出されたのでしょうか?

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グラハム子さん(グラハム子):これは私が考えたシーンですね。主人公が強すぎる正義感を持つ場合、起こりやすいのはどんなことだろう?と考えて、結構自然に思いつきました。

――トラブルを目撃した時に「これって介入したほうがいいのかな?」と思ってもなかなか勇気が出ず、声をかけられないということはよくあると思います。グラハム子さんご自身だったらこういう時に声をかけますか?

グラハム子:以前、飲食店で母親が娘さんに対して怒鳴っているところを目撃したことがあったんですが、声はかけられなかったですね。そしたら年配の方が「あなたそれ虐待だよ」って言ったんですよ。「言わなきゃいけない時ってあるよなあ」と反省しました。

――私は以前子どもを怒る側だった時があって。引っ越しして知り合いが周囲にいない上に、コロナ禍で疲弊していた時、商業施設の入り口の前で子どもを強く叱ってしまったんです。そしたら、知らないおばあさんが私と子どもに「大変ね」って言いながら飴をくれたんですよ。いつも一度泣いたら泣き止まない息子もすぐに泣き止むし、多分あの時厳しい言葉をかけられていたら私も泣いていたと思うので(笑)、すごく助かったなと思いました。

グラハム子:飴をあげるというのはいいですね。怒ってしまうお母さんの気持ちも自分が子育てしていると他人事ではない気持ちにもなるので。声をかけなきゃいけない時はあるけど、両方に寄り添った声をかけられたらさらにいいですよね。

取材・文=原智香

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