あなたは共感する? 正義感が強すぎるせいでトラブルに巻き込まれる母親【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/8/28

 子どもが小学校に入学するタイミングで郊外の住宅地に家を買ったとある家庭。主人公・平川里奈は、近所のママ友や町内会の人たちに溶け込み、順調なスタートを切っていた。しかしある日、公園で自分の子どもを激しく叱責する女性を咎めたことをきっかけに日常に変化が。数々の嫌がらせを受けるようになった里奈は、口論になった女性が犯人だと疑い、証拠を掴むために行動を起こしていく。しかし事態は思わぬ方向へ展開し……。閑静な住宅地という閉鎖的な人間関係から悪意のない誰かの行動が人を傷つけていくという人間関係の本質を描く『この街の誰かに嫌われています』(グラハム子/KADOKAWA)。サスペンスセミフィクションである本作誕生の経緯から自身の体験まで、著者であるグラハム子さんにお話を伺いました。

――主人公は正義感が強いからこそ、トラブルに巻き込まれていきます。主人公をこういったキャラクターにした理由はありますか?

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グラハム子さん(以下グラハム子):これは担当編集さんからの「共感されない主人公でいきましょう」という提案があったからですね。

担当編集:本作もですが、「シリーズ立ち行かないわたしたち」はまずXで試し読みを投稿するんです。そこで読者側のツッコミが起きる内容のほうが、引用リポストなどのリアクションを引き出しやすいんです。議論になるんですね。

――なるほど。正直私も主人公に「なんでこんなことするんだろう」「リアルなママ友だったらちょっと嫌だな」と感じながら読んでしまったのですが、まさに狙い通りだったわけですね(笑)。

担当編集:そうなんです。主人公がどうしてこういうことをしてしまうのかバックボーンとなる部分も本書ではしっかりと描いています。そうすると読者の方にも「今自分の中の正義感みたいなものを振りかざしていなかったか?」と深い部分が伝わるんじゃないかと思いました。

グラハム子:以前漫画を担当した、タワマンに住む3家族の人間模様を描いた『タワマンに住んで後悔してる』も登場人物全員が教育熱心すぎて、共感しかねる人たちだったんですよ。ただ、それがおもしろさにつながっていると感じていたので、今回の「共感されない主人公」というコンセプトもいいなと思って進めました。

取材・文=原智香

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