家の前の鉢植えが倒れた。これって嫌がらせ? 主人公の心の在り方が話の流れを変える!【著者インタビュー】
公開日:2025/8/29

子どもが小学校に入学するタイミングで郊外の住宅地に家を買ったとある家庭。主人公・平川里奈は、近所のママ友や町内会の人たちに溶け込み、順調なスタートを切っていた。しかしある日、公園で自分の子どもを激しく叱責する女性を咎めたことをきっかけに日常に変化が。数々の嫌がらせを受けるようになった里奈は、口論になった女性が犯人だと疑い、証拠を掴むために行動を起こしていく。しかし事態は思わぬ方向へ展開し……。閑静な住宅地という閉鎖的な人間関係から悪意のない誰かの行動が人を傷つけていくという人間関係の本質を描く『この街の誰かに嫌われています』(グラハム子/KADOKAWA)。サスペンスセミフィクションである本作誕生の経緯から自身の体験まで、著者であるグラハム子さんにお話を伺いました。
――家の前の鉢植えが倒れていたところから、主人公一家への嫌がらせが始まっていきます。この故意なのか自然発生なのかわからない微妙な不穏さが良いシーンだなと思ったのですが、このシーンはどうやって決まりましたか?
グラハム子さん(グラハム子):これは担当編集さんのアイデアなのですが、今おっしゃったようにどっちとも取れる、どっちなのかわからないシーンにしようということで描いていきました。主人公もすごくハッピーな時だったら「風で倒れたのかな?」ですませることができたかもしれないけど、不安があるから良くない想像をしてしまうんですね。心模様次第でどちらとも取れる線にしました。
――実際にグラハム子さんが見聞きしたご近所トラブルはありますか?
グラハム子:猫の問題でご近所トラブルに発展するのはよくあることだと思いますが、私が住んでいる住宅地に、野良猫が住み着いたことがあったんです。地域で猫を養っているところもあると思いますが……お母さん猫が端っこの草むらで子猫を産んで。猫が好きな人や子どもは「かわいいね」と微笑ましく見ていたのですが、猫が嫌な人は「早く出て行ってほしい」という感じで。ちょっとピリッとしていたところに、ある日猫がいなくなって。おそらく猫反対派だった人の誰かが保健所に電話したんだろう、みたいな出来事はありましたね。
――なるほど……。てっきりそういうことって集会などで処遇を決めたりするのかと思っていました。
グラハム子:昔から代々同じ家系の人が住んでいるような地域だったら、集会で問題提起して解決することもあるかもしれませんが、私が住んでいるエリアは、住み始めて間もない人もいる場所なので、まだそこまでコミュニケーションを取れる間柄ではないんです。その点も主人公が住んでいるところと似ていますね。ご近所トラブルって知り合い同士だし、買った家だと引っ越せないし……人間関係のトラブルの中でも独特の難しさがあると感じています。
取材・文=原智香