誰もかもが怪しい! 読者をだますための練られた構成と戦略とは?【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/9/2

 子どもが小学校に入学するタイミングで郊外の住宅地に家を買ったとある家庭。主人公・平川里奈は、近所のママ友や町内会の人たちに溶け込み、順調なスタートを切っていた。しかしある日、公園で自分の子どもを激しく叱責する女性を咎めたことをきっかけに日常に変化が。数々の嫌がらせを受けるようになった里奈は、口論になった女性が犯人だと疑い、証拠を掴むために行動を起こしていく。しかし事態は思わぬ方向へ展開し……。閑静な住宅地という閉鎖的な人間関係から悪意のない誰かの行動が人を傷つけていくという人間関係の本質を描く『この街の誰かに嫌われています』(グラハム子/KADOKAWA)。サスペンスセミフィクションである本作誕生の経緯から自身の体験まで、著者であるグラハム子さんにお話を伺いました。

――本作を描く上で大変だったことはどんなことですか?

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グラハム子さん(グラハム子):この作品って、1話分のページ数がだいたい決まっている上、4コマ形式なので描けるコマ数が決まっていて、なので1話の中でどこまで落とし込むかが難しかったですね。ミステリーとして、犯人じゃない人を怪しく見せたり、結末のヒントをちりばめたりする必要があるので、ボリュームの調整が大変でした。

担当編集:電子書籍やSNSでの展開のために1話4~6ページくらいでお願いしていました。一冊の中の話数が多いほうが人の目に留まる可能性も高くなるので。

――私はまんまと中盤まで犯人じゃない人を疑っていたので、苦労されたとのことですがミスリードはかなり上手くいっていたと感じました

グラハム子:よかったです。今回は各話のタイトルと物語の構成の部分は担当編集の方が文章で作ってくださっていて。そこから私が構成自体を変えたいと相談したり、エピソードの細部を詰めたりして作っていきました。登場人物が多い作品なのですがなんとかまとめられたのはそんな共同作業の部分があったからだと思います。

取材・文=原智香

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