「推しカプの攻」が好きな相手は自分!? 恋心とオタク心の間で揺れる青春BL【漫画家インタビュー】
公開日:2025/9/4

「推しカプ」の「攻」に、自分が攻められるとしたら? BL好きの男子高校生・透は、密かに推しカプとして、後輩の仁木と玲の関係を日々尊んでいた。ところがある日、そんな透の前に現れたのは、自分にグイグイ迫ってくる仁木本人だった。推しの「攻」がまさかの自分に恋をしていた……?
予想外の展開に困惑しながらも、恋とオタク心の間で揺れる透のリアクションが笑えて愛しい。直球すぎる言動の仁木と、共感せずにはいられない透の推し活目線。キャラたちのかけあいや感情の噴出が癖になる。
第1話から2.5万いいねを集め、X(旧Twitter)を中心に話題沸騰。新世代の青春BLとして、多くの読者が更新を心待ちにしている。
そんな『推しカプの攻に攻められる話』の作者・りょうすけ(@HND_boo)さんに、創作のきっかけやこだわりについて聞いた。
「推しカプの『攻』から自分が好かれたら?」そんな発想をもとに、自身の推し活経験を重ねて描く
ーー『推しカプの攻に攻められる話』を創作したきっかけや理由をお教えください。
連載していた作品が終わって少し時間ができたので、書き出していたネタの中の1つをブラッシュアップして描きました。
ーー本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントを教えてください。
「攻」のキャラにはいつもこだわっています。と言っても毎回「クソデカ感情」は共通なのですが、仁木の言動を楽しんでいただきたいです。
また、本作の場合は「受」の透がBL好きの男の子なので、共感して笑っていただけたら嬉しいです。
ーー特に気に入っているお話を教えてください。
1話目の「俺が攻められとるがーー!?」のシーンが描きたくて描いたものではあるので、そこ……だと思います。その後の言葉のすれ違いも描いていて楽しかったところです。

あとは、読者さんから多く反応をいただいたシーンは嬉しくて、自分でもお気に入りになることがあります。
ーー透が推しカプとして仁木くんを推していたのに、逆に積極的にアプローチされるという展開にドキドキします。この関係は、どのようにして思いつかれたのですか?
ふと、「推しカプの『攻』に自分(主人公)が攻められてしまうのはどうだろう?」と思いました。実は「これを描こう」と思ってから実際に描くまでかなり時間が経っており、浮かんだ時の記憶はあまりないのですが、最初は「推しじゃない方から好かれる」というネタだったと思います。
ーー熱量のある仁木くんの言動を描くうえで、意識していることはありますか?
仁木の言動については、とにかく透ファーストです。キャラを作る段階でのこだわりはありますが、言動は特に意識していません。プロットを作る時は、まず会話や状況、行動を浮かぶままに書き出して、そこから肉付けや削除、入れ替えなどを行うタイプなので、いわゆる「キャラが勝手に動く」という感じです。
ーー透が推しカプを推す熱量やオタクっぷりがとても楽しいです。推し活ぶりがリアルですが、実際のご経験や参考にしたエピソードはありますか?
少し経験した内容が入っていると思います。本作に限らず、どの作品にも何かしら自分の中にあるもの(経験やコンプレックスなど)を1つは入れるようにしています。
透の場合、推し活部分に関しては気持ちがよく分かるので、自分ならどう思うか、どう反応するか……と考えながら描いています。
ーー推しカプの「受」である玲くんもとても美しく、仁木くんへの面倒見の良さが魅力的です。 今後、玲くんを中心としたエピソードや掘り下げは描かれる予定ですか?
ありがとうございます。玲のエピソードも、考えてはいました。玲には、10年前から続く行動の理由があって、そういった背景もどこかで描きたい気持ちはあります。
ただ本編中ではなかなか難しいので、いつかスピンオフの形で描けたらいいなと思い、あたためています。
ーー本作を通じて描きたいこと、伝えたいことはありますか。
要所要所で仁木が透を肯定する言葉を言ってくれるので、そこでしょうか……。本当はもっとあるのですが、そこは感じ取って頂けたら嬉しいです。
ーー今後描いてみたいエピソードはありますか?
一応今後のエピソードもだいたい決まってはいます。「描いてみたい」と言えば先の質問でもお答えした「玲のエピソード」です。
ーー今後の展望や目標を教えてください。
マルチタスクが苦手で、そこはもうどうしようもないしどうにもならない……と最近ようやく気付いてきたので、せめて時間配分が上手になれることが目標です。あとは、もっと長く楽しんでいただけるお話を描いてみたいです。
ーー作品を楽しみにしている読者の方々へメッセージをお願いします。
いつも作品を公開する時は全身真っ青になるくらい緊張しているのですが、ご感想などをいただけるとホッとしてやっと力を抜くことができます。
いただくご感想や反応のおかげで、創作し続けることが出来ていると思っています。今後も楽しんでもらえるよう精進してまいります。仁木と透のこれからも見守っていただけますと、とても嬉しいです。
取材・文=ネゴト / fumi