ときめきが止まらない!狼の少年と犬の少女、不器用な両片想いが紡ぐ恋物語【漫画家インタビュー】

マンガ

公開日:2025/9/5

 同じ大学に通う、狼の男の子・アルと犬の女の子・ノラの恋模様を描いた漫画『おもいこみのノラ』。ふたりは両片思いだが、お互い不器用なためになかなか思いを伝えることができない。そんなふたりを見ている友人や周りの人たちの力も借りながら少しずつ近づいていき……。

 空白を生かしたシンプルな線の絵と手書きのセリフはどこか懐かしさを感じる人も多いだろう。だがそれが逆に新鮮さを覚え、惹かれ合っていくふたりの繊細な感情と心の機微がストレートに伝わってくる。

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 X(旧Twitter)では作品が投稿されるたびに「尊い」「ときめく」などの声を数多く集め、10万いいねを獲得する作品も。

 そんな『おもいこみのノラ』の作者・蒔/maki(@loilo_age5)さんに、創作のきっかけやこだわりについて聞いた。

余白を活かしたシンプルな表現で、読者の日々に寄り添えたら。仕草一つに感情を込めて紡ぐ物語

ーー『おもいこみのノラ』を創作したきっかけや理由をお教えください。

 昔から「狼」という生き物に強く憧れていて、私にとって格好良さや自由の象徴のような存在でした。

 あるとき、そんな“狼の男の子”と“野良犬(雑種犬)の女の子”が、両片思いかもしれない……というワンシーンをふと思いつき、それを描きたくなったことがきっかけで、第一話が生まれました。

ーー本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントはありますか?

 1ページでさらっと読めるストーリーと、すっきりとした画面づくりを大切にしています。忙しい日々の中でも、心が少しほどけるような、そんな読み心地を目指しています。

ーー特に気に入っているお話を教えてください。

「なみなみいっぱいに悩む」という回が気に入っています。”喫茶だむぞこ”の店内の雰囲気や、ビーバー夫妻の会話のテンポ感が自分でも心地よく感じていて、「こんなお店があったら行ってみたい!」と読者の方にも思ってもらえたら嬉しいです。

ーー文字や吹き出しのテイスト、綴られている言葉がとても好きです。漫画を含め、映画や音楽、アニメ、書籍など強く影響を受けた作品はありますか?

 幼い頃に読んだ手塚治虫先生の作品と、みつはしちかこ先生の『小さな恋のものがたり』から、大きな影響を受けていると思います。絵や言葉に漂う余韻や間のようなものを、自然と吸収していたのかもしれません。

ーー個性豊かなキャラクターたちの見た目や性格は、どんなところから着想を得ていますか?

「自分のまわりにこんな人がいたらいいな」と思う存在をベースに考えることが多いです。キャラクターを描くときは、モデルにする動物の実際の生態を調べたり、動画でフォルムや仕草を観察したりしてから、見た目や性格に落とし込むようにしています。

ーー細やかな感情表現に惹きこまれます。繊細な感情を読者に伝えるために、セリフや間、コマ割り、構図などで工夫していることはどんなところですか?

 セリフやコマをあえて削ぎ落として、余白や“間”が生きるようなシンプルな表現を意識しています。少ない言葉やキャラの仕草で感情が伝わるような、そんな描き方ができたらと日々模索中です。もっと上手になりたい……という気持ちで描き続けています。

ーー本作を通じて描きたいこと、伝えたいことを教えてください。

 大それたメッセージがあるわけではありませんが、毎週金曜日の投稿は、読んでくださる方と「今週もお疲れ様でした!」とハイタッチするような気持ちで続けています。

ーー今後描いてみたいエピソードはありますか。

 若かりし頃のカメイ先生や、だむぞこ夫妻の過去のお話なども描いてみたいなと思っています(笑)

ーー今後の展望や目標を教えてください。

 ノラに限らず、長く、たくさん、描き続けていける作家でありたいと思っています。もっと表現の幅を広げられるよう精進していきます。

ーー作品を楽しみにしている読者の方々へメッセージをお願いします。
 
『おもいこみのノラ』に出会ってくださり、そしてキャラクターたちを愛してくださって、本当にありがとうございます。作品を通じて誰かとあたたかいつながりが生まれていたら、こんなに嬉しいことはありません。これからもどうぞよろしくお願いします。

取材・文=ネゴト / fumi

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