マシンガンズ滝沢「子どもの小学校卒業時、ランドセルをフィリピンまで直接届けました」ごみの分別や環境保全を「楽しむ秘訣」【インタビュー】

暮らし

公開日:2025/9/5

「何を買うか」でごみは減らせる

——服も捨てるのが嫌だから買わずにレンタルしている、とも聞きました。

滝沢:物はもういらねえや、と思っちゃって。物を持たない心地よさってあるし、捨てるのが嫌だから。それに、ファッションロス(=まだ着られる衣服が廃棄されること)や労働搾取(低い待遇で過酷な労働を強いられること)に加担するのは嫌だなと思って。そんな企業にお金払いたくない。

 どっちかと言えば、大量に洋服を買うほうがお金がかかっていると思いますよ。値札がついたままの服を捨てている人がいっぱいいるんだから。安いからといって、買って着なかったらお金を捨てるようなもの。高級住宅街から大量の服のごみが出てくるなんて、見たことないですもん。

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——買う物を選ぶことも、ごみ削減につながるんですね。小学校では物の産地を調べる授業があるので、「どこで作られているか」「誰がどうやって作っているか」を調べて買うのはいいかもしれません。

滝沢:「FSCマーク」っていう森林保全に貢献できるマークがあって、そのマークが入っている企業製品と入っていない企業製品があるんですよ。それを子どもに知ってもらうために、わが子が小さい頃はよくスーパーで「マークがついているお菓子は200円まで買っていいよ。ついていないなら100円まで」と言って買い物していました。産地を調べて買うなら、そういう学び方もいいかもしれないですね。

——今すぐにできるアイデアですね。ゲーム感覚で楽しく学べそうです。

滝沢:このマーク、条件が厳しくて取得するのが難しいらしいですよ。大人の自分も「あ、この企業は入っているんだ」って知るきっかけになりました。

ごみを減らして楽しくなることを考えてみる

 『まんがで読める ごみってなんだろう? 世界一わかりやすいごみの本』著者・マシンガンズ滝沢秀一さん

——本の中には他にも、ごみに興味を持つきっかけになりそうな知識がたくさん紹介されています。滝沢さんはこれからも、芸人をしながらごみ清掃員を続けていく予定ですか?

滝沢:そうですね。もう「やりたい」っていう領域に入っているので、できないほうがストレス。月2、3回でもいいから続けたいですね。日本のごみを減らすことが目標ですし。

——Xでのごみネタのつぶやきから、寄付イベントやごみフェスの開催まで、滝沢さんの地道な活動を見ていると、まずは身の回りから始めることの大事さが伝わってきます。

滝沢:この間、うちの子が小学校を卒業したのでランドセルをフィリピンに持っていったら、相手の子どもがすごく喜んでくれて。セカンドライフっていう寄付団体が行くっていうから、俺もついていっていいかって。直接渡したほうが面白いじゃないですか。ランドセル1個でも日本のごみは減りましたから。結局50個くらい集まって、50個のランドセルが燃えないで済みました。でも、そんな偉いものじゃないです。届けたついでにきれいな景色を見て。旅行感覚ですよ。

——旅行感覚。“社会のために”って気合を入れるより気軽に続けやすそうですね。

滝沢:はい。ごみの山とか、すごかったです。スモーキーマウンテンっていう有名な山。燃やしちゃいけないからごみを溜めるんだけど、自然発火みたいな感じで煙が立つから、スモーキーマウンテン。そこに、子どもたちがペットボトルを分別して収入を得るために裸足で上がるんです。足の裏に注射針が刺さって感染症になることもあるんだけど、親には言わないですよね、治療にお金がかかるから。

 それを、もう恥ずかしいってことでフィリピン政府が(スモーキーマウンテンを)全部なくしたんだけど、実際にはまだあるんですよ。ただ、政府の方針に対して「自分たちの仕事を取るな」っていちばん怒ったのは住民たちらしくて。この話でごみと労働が連動していることを知り、ぜひ見てみたいと思って行ってきました。社会貢献とか全然考えてなくて、ただ、いろんなごみ、世界のごみを見てみたいだけ。ごみを減らして楽しくなるようなことをずっと考えています。

——ごみって奥深いです。本のタイトルにもあるように「ごみってなんだろう?」と興味を持つことから始めてもいいかもしれません。

滝沢:割と本気で思っているのは、みんながごみを分別すれば、世界中から戦争がなくなるんじゃないかっていうこと。戦争が始まる理由の6割程度は資源の奪い合いという話もありますから。今ある資源を大切にすれば、争わなくていいことって結構多いと思っています。

取材・文=吉田あき 撮影=島本絵梨佳

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