訳あって身代わりとして隣国の王子と結婚!? いろんな意味でドキドキが止まらない、ポジティブ侍女の異世界ラブファンタジー!【書評】

マンガ

PR 公開日:2025/9/10

冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番として溺愛されました
冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番として溺愛されました(星那しほり:作画、百門一新:原作、白谷ゆう:キャラクター原案/スターツ出版)

 自分が困っているときに助けてくれた心優しい人には幸せになってほしいし、できるなら恩返しだってしたい。そう思うのが人間というもの。でもそれと同時に、できることには限度があるのもまた普通のことだろう。でも中には、そうした常識を勢いで飛び越えちゃう超ポジティブ人間も――。

冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番として溺愛されました』(星那しほり:作画、百門一新:原作、白谷ゆう:キャラクター原案/スターツ出版)は、そんな驚きの「恩返し」を心に誓った王女付き侍女と、運命の出会いを描いた異世界ラブファンタジー。2025年8月22日に同時発売となった紙コミックス版1・2巻は、表紙が電子版からより異世界恋愛らしい華やかなデザインへ変更されている。

最低最悪な王子のもとへ身代わりの花嫁として嫁ぐことに!?

 本作品の主人公は、サンスティール王国の王女――ではなく、王女付きの護衛侍女ミリア。王女様が11年間忘れられなかった初恋の相手、バフルスク国の王子アーサーと王女が再会を果たし、ミリアもともに喜んでいた。

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 しかし、そんな初恋のふたりの婚姻間近のタイミングで、王女とラグウルフ王国のアンドレア第二王子との結婚が決まってしまう。姫として生まれた自分の役割だからと一度はその結婚を受け入れた王女だったが、ミリアがそれに抗議。「私に任せてください!」と、王女様の代わりにアンドレア第二王子と結婚することに。

 ミリアのミッションは、王女様の代わりにラグウルフ王国へ向かい、正体がバレる前に離縁してサンスティールへ戻ること。噂によると、アンドレア第二王子は最低最悪で有名な女遊び王子。美しい容姿だが結婚には興味がなく、離宮に大勢の愛人を置いているという噂が広がっていた。

 この世界には、結婚によって他国の王子や姫を人質にとることを禁止するために定められた国際法「国同士による名ばかりの結婚の禁制」というものがあり、「半年間子作りの拒否が続いた場合は離縁とする」とされている。つまり、半年間何事もなくやり過ごすことができればサンスティールへ帰れるのだ。

ヒロインのポジティブでひたむきに頑張る姿に勇気づけられる

 元々王女の影武者を務めていたミリアは、自分や物の色を変えられる魔法を使って髪色を変え、王女様としてラグウルフ国へ乗り込んだ。普通であれば、こんな命がけの身代わり結婚なんて恐怖心が勝ってしまいそうなものだが、ミリアは「全ては姫様のため」と明るく果敢に立ち向かっていく。しかもミリアは演技が特別得意なわけでもなく、隙だらけで、「なぜそれでいけると思った!?」と突っ込みたくなるレベル!

 だがそんな彼女が持つポジティブなエネルギーとひたむきに頑張る姿に、見ているこちらまで元気をもらえる。王女様への愛もメンタルも強すぎるぞこの子……! でもそこが愛らしく、目が離せなくなる。

 一方、結婚を申し込んだラグウルフ王国側にも何やら事情がある様子。実は結婚を頑なに拒否するアンドレア第二王子には、忘れられない、でも立場上二度と会う機会すらないはずの人物がいた。つまり王子自身も、このまま半年後の離縁を待つつもりでいたのだ。

 だが、向かったのが身代わりのミリアだったことで奇跡が起こる。

 ミリアとアンドレア王子の関係が今後どうなっていくのか、ミリアにいったい何が起こってしまうのか、そしてサンスティール王国の本物の王女様の初恋はどうなっていくのか――まだまだ気になることが盛りだくさん! ちなみに起こった奇跡の正体は第5話で明かされているので、ぜひ本書で確認してほしい。

 今後も王女様のことを思いつつ、勢いとポジティブな明るさを見せつけてくれそうなミリア。次は何が起こるのか、どう活躍していくのか、引き続き見守りたい。

文=月乃雫

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