婚約破棄で人生終了? いいえ、本当の聖女人生の始まりです。イケメン&もふもふの精霊たちと築く義姉も嫉妬する最強聖女ライフ【書評】
PR 公開日:2025/9/11

『婚約破棄は本望です!聖女の力が開花したので私は自由に暮らします~本物の聖女は義姉ではなく私でした~』(くせ つきこ:作画、もり:原作/スターツ出版)は、「屋根裏部屋の公爵夫人」シリーズを手掛ける、もり先生原作のファンタジー漫画。
“聖女の生まれ変わり”と公爵家に養女に
あらゆる精霊を扱うことができる証を持つリゼットは“聖女の生まれ変わり”だと公爵家に養子として引き取られ、王太子と婚約することに。

しかし、期待されていたような特別な力は発現せず無能と蔑まれ、リゼットは、証を偽装し王太子を騙したとして、濡れ衣で地獄と呼ばれる地への追放を言い渡されてしまう。絶体絶命のリゼットのもとに現れたのは、半年前からリゼットの近くで過ごしていた狼。この狼こそが、リゼットがずっと憧れていた伝説の精霊王だったのだ。

「リゼットの願いは私が叶える」とリゼットに寄り添う精霊王は、リゼットのことを「今世の聖女」だと告げる。そしてふたりは、リゼットのことを偽者扱いしてきた義姉や大太子のいる王宮から旅立ち、新たな旅路へと向かう。
聖女として第二の人生が始まる
城から出て、向かった先ではどこからか苦しんでいる声が聞こえ、そこには青い炎を纏った魔物に立ち向かう村人たちがいた。魔物と対峙したことをきっかけに聖女の力が開花したリゼットは、精霊と人間が共存できる世界を目指すことを決意。素敵な仲間たちと一緒に、リゼットの第二の人生が始まるのだった。

本作の主人公リゼットは、聖女でありながらただ守られるだけの存在ではない。ヒーローである精霊王ジェイドに守られるだけではなく、自らの力で道を切り開いていく。その優しさと強さで多くの人々を救っていくリゼットの姿は、精霊王ジェイドのみならず他の精霊たちをも魅了していく。そんな人気者のリゼットを独り占めしたがり、嫉妬のような素振りを見せるジェイドの姿からも目が離せない。

そして何より注目すべきは、精霊たちの愛らしい姿である。ライオンやうさぎなど様々な動物の姿でリゼットの前に現れる精霊たち。リゼットを慕う精霊たちが今後どのような活躍をするのかも見どころの一つだ。

一方、王国ではリゼットの義姉ソレーヌが聖女として国民にもてはやされている。リゼットを蔑んでいた義姉がどのようにリゼットの行く手を阻もうとするのか、またリゼットがそれをいかに乗り越えていくのかにも注目したい。
本作は虐げられていた女性が自らの力で運命を切り開いていくシンデレラストーリーである。王道の展開でありながらも、緻密な作画と愛らしい精霊たち、そしてリゼットを慕う個性豊かなキャラクターたちが、新たなワクワク感を膨らませてくれる。イケメンにキュンとしながらリゼットの姿に勇気をもらえる、痛快かつ癒しのストーリーをぜひ。
文=ネゴト / くるみ