生理の痛みは人体のバグ!? 『私も知らないオツキサマの話』は生理と向き合うための人体の教科書【書評】
公開日:2025/9/28

痛みや不快感、倦怠感や眠気など症状は人それぞれだが、多くの女性にとって悩みの種となる「生理(月経)」。
『私も知らないオツキサマの話』(安堂友子/ぶんか社)は、長年月経の重さに苦しんできた著者が「生理」ととことん向き合ったコミックエッセイだ。
著者は婦人科系器官には異常がないと言われたにもかかわらず、10代の頃から生理が激重で苦しんできた。しかし30代でピルの服薬治療を始めたことで症状が改善。そんな経験を持つ著者が、生理についてとことん調べて知り得た情報。本作ではそれらが惜しみなく描かれている。
生理には気絶するほどの痛みが伴う人もいる。この痛みに関しては経験してみなければ分からないことも多く、人と比べることも難しい。痛みが重い人もいればそうでない人もいるため、同じ女性であっても共有できない場合もある。
母親が重い人だったから自分もそうだと思っていたら違ったり、不摂生な生活をしているからといって重くなるわけでもない。身内に似るわけでもなく、年齢・体格・生活スタイルも関係がない……ではいったい何がそうさせているのだろうか。
答えはなんと人体のバグだった!? 本作で描かれる生理痛の仕組みは必読だ。
妊娠・出産や更年期まで、生理にまつわる女性の体のあれこれ。お風呂やトイレ、生理中の下着といった生理に関連するトピック。それらがどのようにして現在のスタイルになったのかを、歴史とともに学ぶことができる。実験的要素も織り交ぜながら、理解しやすく描かれているのが本作の特徴だ。
しかしさまざまな歴史をひもといていくたびに、女性の扱いが劣悪であったことを思い知らされる。過去の女性たちの努力や想いの上に今があると分かり、この先も新技術の登場や価値観の変化でよい方向に向かうことを願わずにはいられない。
なぜ毎月こんなにも辛い思いをしなければならないのだろう。女性にとって深い悩みにつながる事柄だからこそ、知識を身につけ、理解することが大切である。本作を読めば「生理」と向き合う第一歩となるはずだ。
文=ネゴト / Ato Hiromi