「防水」だけど、みそ汁には入れて大丈夫? 子どもの勘違い&やらかしに共感が止まらない!【漫画家インタビュー】
公開日:2025/9/12

ある日、小学1年生の子どもが学校で使うタブレットを持ち帰ってきた。「これは防水じゃないから」と注意されたそうだが、そもそも「防水」の意味がピンときていない様子。
そこで「それを水に入れちゃダメってこと。……水と言ったけど、お風呂の中にも、みそ汁の中に入れてもダメよ」と具体例を挙げながら説明すると、驚きの反応が返ってきて……!?
子育て世代なら思わず「わかる!」と頷いてしまう4コマ漫画『防水』には、子どもの純粋さと成長の瞬間が詰まっている。まだ物事の理解が十分ではない子どもには、私たちが当たり前だと思っていることも丁寧に説明する必要があるのだ。
幼い子どもを育てる親が抱える苦悩をリアルに描いた本作は、X(旧Twitter)を中心に人気が高まっており、4万以上のいいねが集まる投稿も。
本作をはじめ、子育てを題材にした4コマ漫画を多く投稿している作者・浅木胡逸(@asagiko)さんに、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
大人だから正しくて、子どもだから間違っているわけではない
ーーご自身の育児経験を作品として発信しようと思ったきっかけや理由を教えてください。
以前から4コマ漫画は描いていたので、描くことへのハードルは低かったです。参考に他の方々の育児漫画を読んでみたところ、自分が描きたいものとは少し違うと感じ、それなら自分が思うものを漫画に描いて発信してもいいかもしれないと思ったのが創作のきっかけでした。
また、作品を描くにあたって子どもや自分自身、周囲の出来事を観察することになりますが、大学で人間行動学を学んでいた経験があり、その学びを活かしながら表現できることに気づいたのも大きな理由です。
ーー『防水』を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントはどこですか?
こだわった点は2コマ目で描いた、子どもが一見、納得しているようで実はピンときていない様子ですね。このような薄い反応は日常でよく見かけるものの、忙しさからつい見過ごしてしまいがちです。
しかし、それを「理解した」ということで片づけて3コマ目のようにあらためて確認しなかった場合、勘違いによる失敗につながってしまいます。
そうするとその失敗への対処が必要になり、より忙しくなってしまう。それで大人がイライラして、子どもが不安定になり、また別の失敗が発生してしまう。その負の連鎖を防ぐには、子どもがきちんと理解できていない様子をいかに見逃さないかがポイントだと思いながら描きました。

ーー『防水』をはじめ、さまざまな育児漫画を描かれる中で、ご自身が親として新たに気づいたことや学びがあれば教えてください。
新たに気づいたことは、「大人だから正しくて子どもだから間違っている」ということは決してないんだということです。
子どもが正解として出してきたものをもとに、その答えが出てくるための解決方法を考えると新たな発見があったり、あるいは誤解を見つけたりすることがあります。だからこそ、子どもの突拍子もない言動も「ばかばかしい」と片付けてしまうのではなく、「これはどういうことなんだろう」と一度立ち止まって捉えることが大切だと思いました。
そして、子どもに何かを伝えたいときには、言葉を一方的にくり返すのではなく、子どもが持っている理解の枠組みに当てはめて伝える工夫をすることが必要だと感じています。
ーー育児や創作で忙しい日々の中で、気持ちを切り替えるためにしている習慣やリフレッシュ方法はありますか?
作品を描いている最中は、パズルゲームをして気持ちを切り替えています。また、育児の合間はときおり夫に子どもを預けて、ひとりでコーヒーを飲みに行ったり、歩いて図書館に行って本を色々読んでみたりすることでリフレッシュしています。
ーー今後描いてみたいエピソードやテーマはありますか?
育児漫画については、まだアイデアのメモがたくさん残っているので、思い出しつつ描いてまとめておきたいエピソードは数多くあります。偏食や少食に悩んで試行錯誤した話なども、あらためて作品としてまとめたいです。
また、育児以外のエッセイも描いてみたいのでネタを探そうかと考えています。子どもが楽しめるような創作漫画にも挑戦できたらいいなと構想中です。
ーー子育て世代の方からの共感の声も多いかと思います。読者の感想で、特に印象に残っているコメントやエピソードを教えてください。
いろいろなことを描いてきたので、読者の方からは本当にさまざまな声が寄せられています。中でも『防水』のように子どもの“やらかし”を描いたエピソードについては、私が描いた以上に大きな失敗事例や体験談が寄せられることがあり、いっそう気をつけようと身が引き締まることも。
一方で、「子どもってそんなに分からないものか?」というようなコメントもたびたび寄せられており、幼い子どもでもこれくらいは普通に理解できるはずだ、という大人側の認識に驚かされることもあります。少子化の影響なのか、あるいは我々大人が子どもの頃と育つ環境がまるで変わってしまっているからなのかと毎度考えてしまいます。
ーー今後の展望や目標を教えてください。
昨年から、これまでSNSで描いてきたものを修正してKindleで出す作業を始めましたが、まだ出せていないものがあるのでそれを進めたいです。
また、育児か創作か、テーマは問わずにメディアなどで作品を発信していきたいので、これからは営業活動にも力を入れていこうと考えています。
ーー作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
ずっと応援してくださっている方々、最近注目してくださっている方々、皆さまありがとうございます。いつも励まされております。これからもいろいろ描いていきたいので、応援よろしくお願いします。