弁当箱の底にあるウインナーの正体は…。クスッと笑えてどこか切ない“日常の勘違い”【漫画家インタビュー】

マンガ

公開日:2025/9/12

 フタ付きの透明な容器を弁当箱にしている筆者。ある日、お弁当の底にウインナーがひとつ残っていて思わずウキウキ。しかし、よく見るとそれは実はウインナーではなく……!?

 自分でもついやってしまいそうな絶妙なオチにクスっとさせられる4コマ漫画『ウインナー!』。日常の小さな出来事をユーモアたっぷりに描いた、ほのぼの漫画である。

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 シュールな展開と味のある独特の絵柄が印象的な本作は、X(旧Twitter)を中心に人気が高まっており、2万以上のいいねが集まる投稿も。

 本作をはじめ、日常の出来事を題材にした4コマ漫画を数多く投稿している作者・うつつ寝(@ututu_ne)さん。ホームページでは、SNSで公開されている作品に加え、ここでしか読めない未公開漫画も読むことができる。うつつ寝さんに、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。

なにげない日常をありのまま受け止めて表現したい

ーー『ウインナー!』を描こうと思ったきっかけや理由があればお教えください。

 職場でこのまんまの出来事があり、ちょっと面白いかなーとなにげなくいつもの調子で描きました。たくさんの人に読んでもらえて驚いています。
 
 本作を描いて気づいたのですが、わたしの手の薬指は先が丸っこくて赤っぽくてウインナーに似ています。

ーーこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントを教えてください。

 なるべく簡潔に、わかりやすい表現を心がけました。そうすることでゆったりしたテンポを作れたかと思います。楽しみにしていたウインナーが食べられなかった、あわい寂しさが伝わると嬉しいです。

ーー普段は作品のネタ探しはどのように行っているのでしょうか?

 良い構想が逆に出てこなくなってしまうので、普段は意識してのネタ探しはしていません。ピンとくるものを見つけたり思いついたりしたときは、すぐにスマホにメモしておきます。何が使えるかわからないので、些細なこともなるべくメモするようにしています。

 また、わたしの場合は、自転車をこいでいたり散歩したりしているときにアイデアが浮かぶことが多いです。

ーー作品のエピソードには、ご自身や周囲の人の実体験が含まれていることも多いのでしょうか。

 ほぼ全て実体験が元になっています。その方が実感のあるものになる気がしています。

 しかし、わかりやすく変えているところもあるので完全なるノンフィクションとは言えません。

ーー描かれている作品の多くが、日常の中に潜む寂しさを婉曲的に描いていたり、クスっと笑えるけれどどこか切ないオチであったりする印象があります。このような作風になったのは、どのような背景があったのでしょうか。

 なるべく格好つけず自然体に表現すると、こうなりました。わたし自身、日常を日常のまま無理にポジティブにせず受け止めようとしているのかなと思います。

ーー4コマ漫画ならではの表現の魅力は、どのような点にあると思われますか?

 制限が多いからこその自由を感じます。セリフはなるべく短い言い回しを探して、内容はよくばらずに余分なものはなくすことで、余白や間のあるリズムが作れたらなと思っています。

ーー今後の展望や目標を教えてください。

 漫画のままの、のんびりした人間なので、はっきりした展望や目標は特に持っていませんがずっと続けていきたいです。また、短編漫画も増やしていきたいです。

ーー作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。

 このような地味な漫画を読んでくださって、たいへん感謝しています。これからもささやかな楽しみをお届けできたら何より嬉しいです。

取材・文=ネゴト / 糸野旬

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