相反する存在が家族になったらどうなる? 愛情あふれる親子コメディにほっこり『天使が悪魔を育てた結果』【漫画家インタビュー】

マンガ

公開日:2025/9/12

 天使と悪魔という相反する存在同士が織りなすファンタジーコメディ『天使が育てる悪魔との日常』。

 天使はある日、人知れず置き去りにされたふたりの悪魔の赤子を見つける。本来ならば、悪魔の子は“災いを招く存在”。けれど、目の前の子どもたちはまだ何も知らず、ただ小さな手を伸ばして泣いている。

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 この子たちを、天使のように愛ある子に育てよう――そう決意した天使は、悪魔の赤子を引き取り、親代わりとなる。

 それから十数年。ルシアンとリリムと名付けられた悪魔の子は、心優しい少年と少女に成長した。育ての親である天使に毎日全力で甘える悪魔の子どもたちの愛らしさと、彼らを包み込む天使の包容力が印象的な本作は、X(旧Twitter)を中心に人気が高まっており、1万以上のいいねが集まる投稿も。

 作者・ウタクニ(@uta_kuni)さんに、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。

相反する存在が寄り添う、やさしい世界を描きたかった

ーー『天使が育てる悪魔との日常』を描こうと思ったきっかけや理由を教えてください。

 相反する存在がともに過ごすことに魅力を感じ、『天使が悪魔を育てた結果』というショート漫画を描いたのがきっかけです。気に入ってくださる方が多かったため、イラスト漫画シリーズとして継続しました。

ーーこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントを教えてください。

 こだわったのは、キャラクターたちの瞳です。特に赤子は台詞での表現ができないので、目をぱっちり開いて興味を持っている様子や、安心している様子などを描き分けることで、どんな風に感じているか伝わるよう意識しています。

ーー特に気に入っているシーンやセリフを教えてください。

 気に入っているのは、天使が子どもたちを慈しむ姿です。幼児が当たり前に保護され愛されることは難しいことではありますが、その平凡な日常の連なりを大切に描いています。

ーー登場する悪魔の子どもたちと天使のモデルにした人物や作品などはありますか?

 特定のモデルはいませんが、悪魔にも天使のように幼児の姿があるなら可愛らしいと思い、キャラクターを造形しました。

ーー悪魔の子どもたちを自分の子として受け入れ、深い愛情を注ぐ天使の包容力に心を掴まれます。天使が”親”として成長していく過程を描く際に工夫したことはありますか。

 この天使は、聖書の解釈に基づいて1人の両性として描いており、母や父という性別的な役割概念や、人間のような肉体的精神的な限界もほとんどありません。

 そのため、描写においては純粋に「幼い命に愛情を持って接する」という側面だけに光をあてています。実際の「親」の姿とはかけ離れており明確な成長もありませんが、もしあらゆる制約がなかったらどう接するかのIF世界を描こうとしています。

ーー読者の感想のなかで、特に印象に残っているものを教えてください。

 読者の方が、天使と悪魔の親子3人を「ラリル(天使ラミ、悪魔リリム、ルシアン)」や、「るぅりむ」など愛称をつけて読んでくださったことが嬉しかったです。

ーー作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。

 いつもご覧くださりありがとうございます。拙作ですが、皆さんの癒やしになれば幸いです。

■作者・ウタクニ(@uta_kuni)さんの作品は以下で読むことができます。
泣き笑い短編集1巻
泣き笑い短編集2巻

取材・文=ネゴト / 糸野旬

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