30代独身女性「古民家風の家を建てたい」と一念発起! マイホームづくりの高揚感を追体験できるコミックエッセイ『結婚する予定もないから、好きなように家建てちゃいました。』【書評】

マンガ

公開日:2025/9/29

 コミックエッセイ『結婚する予定もないから、好きなように家建てちゃいました。』(ひぐちにちほ/ぶんか社)では、その名のとおり独身女性の著者が「古民家風の家を建てたい」というこだわりを追求して、夢のマイホームを手に入れるまでの日々が愉快なタッチで描かれている。

 30代半ばになって自身が結婚に向いてないと悟った著者は、愛犬とともにひとりで住むマイホームを建てることを決意する。しかし漫画家は連載が打ち切りになると収入が途絶えてしまうため、資金調達に苦戦。

advertisement

 それでも、持ち前の思い切りの良さとポジティブ思考で、土地選びや銀行からの融資など、次々と難関をクリアしていく。周りの人々をその気にさせるのも上手で、彼らが著者の好奇心や熱量に引っ張られていく様子が実にリアルだ。

 自分のこだわりに関しては妥協しないところも、読んでいてワクワクするポイントのひとつ。

 家を建てる前から水屋箪笥(みずやだんす・江戸時代から昭和初期頃にかけて普及した食器棚のこと)やあえて古いドアを購入したり、どこにつけるのか定かではない小窓や郵便受けを手に入れたり。著者の突飛なアイデアがどのように家づくりに反映されていくのか、楽しみながら読み進めることができる。

 実際にマイホームを建てるとなると、きっと大変なことのほうが多いだろう。それでも、建築家や工務店の人たちと自身のこだわりを共有し、家が完成に近づいていくワクワク感や理想の姿が形になる興奮が、著者のリアクションの一つひとつから伝わってくる。

 本作を読んで、ぜひ夢のマイホームを建てる高揚感を追体験してみてほしい。

文=ネゴト / ばやし

あわせて読みたい