「次にくるマンガ大賞2025」U-NEXT賞受賞作。やんちゃ男子とガラ悪クール美女が怪異を狩るバディアクション『極楽街』【書評】
PR 公開日:2025/9/20

「画が上手くて、話はドラマティックで、キャラが立ってて、アクションがカッコいいマンガが読みたい!」なんて、あらゆる点で高水準な作品を求めるのはぜいたくだろうか。うん、ぜいたくかもしれないが、実際そんな望みに応えてくれる作品がちゃんとあるのだから恐れ入る。
『極楽街』(佐乃夕斗/集英社)は「ジャンプSQ.」の連載作で、単行本のシリーズ累計発行部数は120万部を突破。「次にくるマンガ大賞2025」で特別協賛のU-NEXTから贈られる「U-NEXT賞」コミックス部門を受賞しており、まさに総合点の高さで読者を惹き付ける注目作だ。

敵を“断つ”こととコマを“割る”ことが重なるマンガ体験
舞台となるのは、チャイナタウンめいた繁華街「極楽街」。問題解決屋(トラブルシューター)として事務所を構えるコンビ……赤毛と犬歯が特徴的なやんちゃな少年「アルマ」と高身長に丸型サングラスのガラ悪クール美女「タオ」は、街が夜闇に沈むとあらわれる人喰いの怪異「禍(マガ)」を討ち滅ぼす戦士としての、裏の顔をもっている。

行方不明者の捜索など人間を相手にした探偵活動でサスペンスを敷いてから、元凶となる怪物をやっつけるバトルで一気にテンションを上げる展開のメリハリが見どころだ。
主人公のひとり・アルマは「半禍の子」と呼ばれる特殊な出自。人間と怪物、両方の血が混じった存在であり、その卓越したパワーを怪物退治に向けている。そんな彼が、中華包丁のような刃物を武器にして敵をぶった斬るバトルは文字通り一刀両断、快刀乱麻を断つ構図がバチバチにキマって気持ちいい。

その戦いでアルマがまっぷたつに断ち切るのは、目の前の敵だけではない。人と怪物が混じった存在であるアルマが、自分と怪物との間に刃の軌跡で線を引き、自らを人間の側へと位置づける。そんな精神的な戦いとしても見ることができる。
もっと言えば、そうして“断ち切る”ことで人として前に進むヒーローの活躍は、紙面を線で断ち切ってコマ割りすることで次へ次へと進行するマンガの推進力と重なり、読みごたえを増す。マンガというメディアで読むことに大きな意義が見いだせるアクションと言えるだろう。

さらにエピソードが進むと、人の心をわずかに残して友情を結べる特殊個体の怪物や、亡くした家族の身体を乗っ取り翻弄してくる上位の怪物など、アルマやタオにとって“断ち切る”ことに覚悟や葛藤が必要なフェーズへと深みが増す運びも物語の密度を見事に高めている。
そんな展開の中、2人が所属する組織の仲間たちがよくハグをする描写が印象に残る。敵を斬り、悩み苦しみを断ち切って戦うクールさ・ドライさと背中合わせに、人とつながる温かみもちゃんと世界観に織り込んである。本当に、あらゆる点で高水準だ。

なお、先述した通り本作は「次にくるマンガ大賞2025」U-NEXT賞の受賞作であり、U-NEXTの「ブック」コーナーで読むことができる。さらに現在、U-NEXTにて期間限定で単行本の無料&試し読み増量キャンペーンを実施中である。この機会にぜひチェックしてほしい。

【「次にくるマンガ大賞2025」コミックス部門 U-NEXT賞受賞記念キャンペーン】
実施期間:2025/9/19(金)~2025/10/2(木)
対象:『極楽街』1巻無料
対象ページ:https://video.unext.jp/campaign/FTL0001404
文=宮本直毅