「もしかして、うちの子も“放置子”と思われてる?」子育てするうえで大切にしたいこと【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/9/29

 親からの愛情を受けられず、寂しい気持ちを埋めるように友達の家に居座ったり、友達の親に執着したりする「放置子」。セミフィクション漫画『放置子の面倒を見るのは誰ですか?』(白目みさえ/KADOKAWA)では、新1年生の莉華が入学説明会で放置子の“りっちゃん”に出会い、トラブルに巻き込まれていく様子が描かれている。

 莉華の母親・しずかは不安定なりっちゃんをサポートしようとするが、娘が彼女から意地悪をされている事実を知って避けるように…。放置子に依存された親子のモヤモヤが「今まさに放置子に悩まされている」「周りにこういう子がいる」という人たちの共感を呼んでいる。放置子に限らず、子どもの友達関係や「いじめ」に悩む人にも刺さるものがあるはずだ。著者は、臨床心理士・公認心理師の資格を持ち、精神科に勤める現役心理士の白目みさえさん。スクールカウンセラーの経験もある著者が、トラブル時の学校への相談の仕方や、そこから一歩進んだ加害者側の支援について紹介しているのも本書の見どころだ。インタビューでは、本作にまつわるエピソードのほか、子どもの友達に対して親が抱きやすい悩みについても聞いてみた。

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――共働き家庭で「仕事をしている間は子どもを自由にさせている」ことがあり、「うちの子も放置子なのでは…」と考えてしまう人もいると思います。放置子とそうでない子の決定的な違いというか、境目のようなものはあると思いますか?

白目みさえさん(以下、白目):線引きが難しいのですが、目安になるのは、親が子どもに興味や関心を持っているかどうかだと思います。たとえば、家庭内で基本的なマナーやルールを約束できているか、行事や運動会など学校や地域の場にできるだけ顔を出しているか。日々の生活では、子どもとその日あった出来事を話すことや、仲のいい友達の名前を知っていること、留守の間にどう過ごしていたのかを把握できていることなども大切だと思います。

 毎日長く話す必要はありませんし、すべて把握しないといけないわけでもないと思いますが、「探ろう」「監視しよう」ではなく、知ろうとする姿勢があるかどうか。…その関心こそが、放置かそうでないかの境目ではないでしょうか。

――“放置”しないためにはどうしたらいいのか、日々の子育てで大切にしたいことが伝わってきました。ちなみに、放置子というテーマを描くにあたって難しかったことや、工夫したことは?

白目:一番意識したのは「明らかな悪者を作らないこと」です。描いていると、どうしても母親である自分の気持ちや、心理士としての自分の視点が入り込んできて、気持ちが揺れることがありました。途中で「りっちゃんを懲らしめたい」「学校の先生に物申したい」「相手の親の顔を見てみたい」と思う瞬間もありましたが、心理士としてはそれでは何の解決にもならないことを知っています。だからこそ、子どもも親も周りの人も「悪者」として描かず、いろんなことを決めつけず、それぞれの背景や気持ちをできるだけ丁寧に中立に表現できるように気をつけました。

取材・文=吉田あき

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