かわいすぎてヤバい!大変だけど愛おしいイヤイヤ期を、ユーモア全開で切り取ってみた『エモーショナルイヤイヤ期 ~人間を3年育ててみた~』【書評】
公開日:2025/10/3

『エモーショナルイヤイヤ期 ~人間を3年育ててみた~』(ビーノ/KADOKAWA)は、大人気コメディ『女子高生の無駄づかい』の作者・ビーノさんがおくる子育てコミックエッセイ第2弾だ。
前作『エモーショナル赤ちゃん期 ~人間を2年育ててみた~』で話題を呼んだわんぱく天使・ぽよちゃんが、ついに魔の3歳児・ぽよくんに成長。自我が爆発し、幼児特有の感情のジェットコースターに振り回される怒涛の日々がユーモラスに描かれている。
作中には、イヤイヤ期特有の理不尽なやり取りや、読者が思わずクスッと笑ってしまうような親子の攻防戦が満載だ。お風呂を頑なに拒否したり、持ってもいないアンパンマン柄の服を「どうしても着たい」と主張したり。わが子の突拍子もない発言や行動に振り回され、時に頭を抱え、時にため息をつきながらも真剣に向き合う著者の姿は、多くの子育て世代の人の共感を呼ぶだろう。
本作の見どころは、子育ての大変さと子どもの愛おしさの両面が丁寧に描かれている点だ。
3歳児は自己主張が一段と強くなり、「すべて自分でやりたい」「自由に行動したい」という気持ちが芽生える時期である。言葉の発達も進み、会話のやり取りが増えることで成長を実感できる年頃であるが、その反面、思いどおりにいかないと癇癪を起こしたり、保護者との小さな攻防が絶えなかったりすることもしばしばだ。
予定通りに進まない毎日、理不尽なイヤイヤに振り回される瞬間、眠気と疲労で心が折れそうになる夜――育児は親にとって、時に試練の連続ともいえる。
けれど、そうした苦労の最中にふと見せる子どもの笑顔や小さな成長の瞬間は、親にとって何よりも大きな喜びとなる。ぽよくんの笑顔や些細なしぐさに頬を緩ませる著者の姿は、子育て真っ最中の人はもちろん、これから親になる人にも学びを与えてくれるはずだ。
ありふれた日々の中にあるかけがえのない瞬間の尊さが、ここに詰まっている。