御曹司から提案されたのは「愛ある契約結婚」!? 真面目で大胆な俺様外科医のギャップにドキドキが止まらない…!【書評】
PR 公開日:2025/10/7

俺様で傲慢と聞くと、その人に対していい印象を抱く人は少ないだろう。でもそこに愛があって、その自信に裏付けされた真摯さと実力があったなら――もしかしたら、その感情も覆るかもしれない。
『愛したいのは、お前だけ~天才外科医の甘い策略~【財閥御曹司シリーズ】』(灯 美咲:漫画、一ノ瀬千景:原作/スターツ出版)は、まさにそんな、俺様の印象が覆っていくラブストーリー。
本作の主人公は、大好きな祖父が経営している老舗料亭・芙蓉(ふよう)のスタッフとして働く望月和葉。和葉は祖父の店と料理を心から愛し、日々懸命に働いていた。そんなある日、芙蓉でご贔屓にしてもらっている大事なお客さんのお見合いが行われることとなった。しかも相手は、世界的医療財閥として名高い円城寺グループの御曹司・円城寺柾樹。だが、柾樹はそのお見合いを散々な物言いで断り、早々に席を立ってしまう。


和葉はその様子をたまたま盗み見てしまい、「感じの悪い人」とつぶやくが――そのタイミングで柾樹本人に遭遇してしまう。

そこからひと悶着あり、彼が店に来ることはもうないと思っていたが、2週間後に再びやってきて「お前が俺に惚れるかどうか……試してみようか?」と一言。何か言い返さなきゃと思っていたその時、和葉にとって唯一の家族である祖父が倒れてしまう。


現役の医師である柾樹は慣れた様子で倒れた祖父を助け、不安に震える和葉に寄り添い、自分の患者だからと真摯に向き合ってくれた。しかし祖父は大腸癌で治療費がかかるうえ、お店の借金もあった。そこで彼が「俺が依頼する仕事を受けないか?」と提案してきたのが、「俺の妻になれ」というもの。受ければ治療費も借金も肩代わりしてくれるらしい。そして「俺は和葉を愛するし それ以上の重みでお前も俺を愛するようになる」なんて言ってきて――。


いくら相手がお金持ちで依頼された「契約結婚」だとしても、こんなことを言われたら戸惑ってしまう。でも大事な身内を救ってくれた恩人で、何の得もないのにお金のフォローまでして、どこまでも自分を救ってくれる相手を無下にできるわけがない。俺様で傲慢な態度も、真摯な対応や誠実さとセットならこんなにも救いになることもあるのかとドキドキさせてくれる。しかも契約結婚と言いながら、「俺は和葉を愛する」と宣言し、実際それが伝わってくる態度を取られたらもう……!
だが、和葉は一筋縄ではいかない。「お金」という下心がある気まずさもあるのだと思うが、自分じゃ柾樹と釣り合わないのではという不安もあるのだろう。それに実際、和葉自身も急すぎて気持ちの整理がつかないのかもしれない。そんな彼女と柾樹の攻防戦や気持ちの動きがリアルでクセになる。その様子の詳細は、ぜひ本編を覗いてみてほしい。
ふたりの関係はまだまだ始まったばかりで、今は親交を深めている最中。でも後半には、柾樹の両親と会うイベントがあり、そこでとあるすれ違いも発生――!? 今後ふたりがどうなっていくのか、何が起こるのか、あれこれ思いを馳せては期待してしまう。芙蓉サイドのことも含めて、これからも引き続き見守っていきたい。
文=月乃雫