甘くて苦くて中毒性あり! 恋に落ちたのは、チョコレートみたいに甘くてずるい男の子。甘さ120%ラブストーリー【書評】
PR 公開日:2025/10/7

“甘い”という表現は恋愛にはつきもの。「甘い言葉」「甘い秘密」など甘美な雰囲気を感じさせます。『甘すぎてずるいキミの溺愛。』(南谷郁:作画、みゅーな**:原作/スターツ出版)はそんな甘さが詰まったラブストーリー。ちょっと地味で平凡な女の子がクラス中に一目置かれるイケメンに翻弄される、甘さと爽やかさ溢れる物語です。
甘い匂いに誘われる、イケメン男子と地味系女子
主人公・花井千湖はクラスの中で目立たない存在。ホームルームで、人気のない委員を欠席している子に押し付けようという雰囲気になった時「さすがに可哀想なんじゃ…」と思っても発言することができません。そんな時「それってさぁ、イジメと同じじゃない?」とズバっと言ったのがクラスメイトの雪野尊くん。近寄りがたいけどその雰囲気すらもカッコイイ、クラスの中で目立つ存在です。


そんな雪野くんに背中を押され、委員に立候補した千湖。帰り際、どこかの教室から甘い香りが漂い、吸い寄せられるように教室に入ります。
そこにいたのは雪野くん。驚いていると突然抱きしめられ、「甘い匂いがするね…」とささやかれます。突然のことに頭が真っ白になる千湖。読んでいるこちらも雪野くんの“甘い”フェロモンにやられてしまうほど。


さらに雪野くんは「この場所のことを誰にも言わないでくれる?」と口止め。冒頭にも書きましたが、秘密の共有には甘美さあり。以降ふたりの仲はどんどん深まっていくのです。
甘くて苦くて中毒性あり……チョコレート系男子の魅力
千湖にとって雪野くんは「チョコレートのように甘くてズルい人」。甘い顔を見せたと思えば急に一線を引いてきたり、気分屋な態度で千湖を翻弄します。その千湖にだけ見せる甘さはかわいいの極み! 教室でのクールな様子とのギャップの「自分だけに見せてくれる」感もたまりません。



自分に興味がないのかと思いきや、やきもちを焼いてきたり……。コロコロ変わる態度にハマっていく千湖は「彼の魅力はまるで中毒性の強い、甘いチョコレート」と表現しますが、こちらもすっかり雪野くん中毒。かなりの甘党というところもかわいさ倍増です。
素直なリアクションで構いたくなる、いじられ&愛され女子がかわいい!
クラスで目立つ存在のイケメン・雪野くんがなぜ千湖を選んだのか? それはからかい甲斐があるからだということが、作中でほんのり提示されます。確かに距離を詰めればすぐに顔を赤くする千湖はかわいいし、無茶ぶりになんとか応えようとする姿もいじらしい。自分のすることにストレートなリアクションを返してくれるかわいらしい子、思い返せば学生時代そういうクラスメイトがいたな……。高嶺の花的な美しさではなく、ついちょっかいをかけたくなるような愛されキャラ。千湖にはそんな魅力があるのです。


だんだん距離が縮まっていくふたりですが、雪野くんには「忘れられない人」がいると共通の友人から警告を受ける千湖。しかも雪野くんは寝言で女性の名前を呟き……。ひと波乱ありそうなふたりのこれから。ちょっと意地悪なくらいの男子が好き!というあなたにぜひおススメしたい作品です。
文=原智香