圧倒的な筋力と攻撃力で学園生活を無双!最強の男は転生してもやっぱり最強だった話【書評】

マンガ

公開日:2025/10/22

 転生漫画が流行する昨今、その主流は「普通の人が最強になる」ストーリーだ。だが『攻撃力極振りの最強魔術師~筋力値9999の大剣士、転生して二度目の人生を歩む~』(友橋かめつ:原作、ねこのゆーま:漫画、青木健生:脚本/秋田書店)はひと味違う。現世ですでに最強の戦士だった男が、最強のまま転生してしまうという新感覚の物語。規格外の強さとともに送る学園生活は、テンポよく描かれ、読み始めたら止まらない。

 圧倒的な筋力と攻撃力で勇者パーティーを牽引し、魔王から世界を救った最強の大戦士・ウラヌス。彼は300年の時を経て「筋力値9999」という能力を引き継いだままエギル・シュバインとして転生した。新たな人生では魔術師を極めるため「宮廷魔術師」を目指すことになる。次世代の英雄を育成する勇者学園に入学したエギルは、同じく転生していた女勇者・シャノンをはじめ、クラスメイトである美少女や同級生たちに次々と絡まれていく。

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 エギルの強さは、序盤から容赦なく炸裂する。入学試験では常識外れの数値を叩き出し、挑発してくる同級生を軽々と退ける。あまりに一方的で、読者が思わず同級生に同情してしまうほどだが、その無双ぶりが、むしろ爽快。読んでいてクセになる心地よさがある。

 勇者学園に通う面々も個性が強くて魅力的だ。シャノンは前世からエギルを慕い続け、今世でも「兄さん」と呼んで、ベッタリと寄り添う姿が微笑ましい。男性を装う彼女との寮生活では、思わずドキリとする場面も。さらに、ライバル心むき出しの御曹司ドラムや、エギルを信奉する剣士クレアらによって、エギルの日常には事件が絶えない。

 絶大な力を持ちながらも、物語はただのバトル一辺倒ではない。学園で生まれる友情や衝突、時に思わず笑ってしまうやり取りが鏤められ、読んでいて飽きない。最強であることの爽快さと、仲間に囲まれた賑やかすぎる学園生活。その両方を一度に味わえるのが本作の大きな魅力だろう。転生ものに新風を吹き込む一作だ。

文=ネゴト / fumi

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