見ているだけで心がほぐれる。生きることを肯定してくれるハムスターの日常【漫画家インタビュー】
公開日:2025/10/14

大きな口で幸せそうに食べる姿がなんとも愛らしいハムスター・ぱくハム。『ぱくぱくハムハム』は、ぱくハムを主人公に、日々のささやかな幸せや、少しモヤモヤする出来事を、カラフルで緩やかなタッチで描き出す。ぱくハムがとてもおいしそうに食べ物を食べる様子も見どころで、読んでいるとついお腹が空いてしまう。
おいしいものを食べる喜び、家族や仲間と過ごすあたたかな時間。時には落ち込むぱくハムの姿も描かれる。忙しい毎日の中で小さな幸せの尊さを思い出させてくれる、癒やしと共感の作品だ。
X(旧Twitter)を中心に、その愛らしさの虜になる読者が多数。その反響もあり、2025年11月には、本作で見せる愛らしさはそのままに、新しいキャラクターが登場する自身初の著書である絵本を出版予定だ。
そんな『ぱくぱくハムハム』の作者・すごく良い(@sugokuii_)さんに、創作のきっかけやこだわりについて聞いた。
目指すのは、天才5才児が書いた漫画!? 自由に描くことが、最大の魅力。ぱくハムのゆるく温かな世界
ーー以前からおいしそうにご飯を食べる動物のイラストを投稿されていましたが、『ぱくぱくハムハム』をシリーズとして描かれるようになったきっかけや、創作の理由を教えてください。
自分史上、たくさんの方に絵を見てもらえるようになったのは昨年の冬ごろでした。特に食べ物を頬張る動物の絵に、多くの注目が集まっていたんです。
そこで「食べることが大好きな動物のキャラクターを作れば、自分が描きたかったエンタメを今なら作れるのではないか」と思いました。そうして誕生したのが『ぱくぱくハムハム』です。人生初の創作漫画になります!
ーー『ぱくぱくハムハム』を描くうえでこだわっている点や、「ここを見てほしい」というポイントはどこですか?
特にこだわりを設けていないことがこだわりです! 『ぱくぱくハムハム』に限ったことではないのですが「自由に描く」ということが、自分が描く絵の最大の魅力だと思っています。
こんなの自分でも描けそう! と思いながら見てもらえたら嬉しいです。目指せ、天才5歳児が描いた漫画!
ーー特に気に入っているお話を教えてください。
お仕事がうまくいかず、ぱくハムが家族のもとに帰り、仲良くご飯を食べるお話が大好きです。自分が描いたとは思えないくらい良い絵ですね......。
ぱくハムの家族はうさぎ(?)のようですが、実は過去のお話をよ〜く見てみるとそのことがわかる要素が散りばめられていたりします。無条件に愛してくれる存在は血のつながったものだけとは限らないですね。

ーー作品の中には、日常の中にあるささやかな幸せや、「あるある」と共感できる出来事が丁寧に描かれています。作品のアイデアが浮かぶ瞬間を教えてください。
プラモデルを作っている時や散歩中によく色んなことを考えています。宇宙のことやこれまで人類が歩んできた歴史、大好きな人達のこと、読んだ本の空想、夕飯のおかずなど......。
その中で、ぱくハムのお話に合いそうな要素があれば抽出しているような感じです。絵やキャラなどの直接的なものを考えてもアイデアが生まれない性分なので、何もアイデアが浮かばない時はただ待っています(涙)
ーー作中には、おいしそうな食べ物がたくさん出てきますが、登場する食べ物は、どのように思いつき、選んでいますか?
自分が食べたもの、食べたいものが大枠を占めています。おっと、焼き魚と野菜が極端に少ないみたいですね.......?
ーー(笑) 本作を通じて描きたいこと、伝えたいことを教えてください。
人間が生きることを肯定出来たらいいなと思います
ーーいつもは幸せに満ちたぱくハムの日々ですが、時には落ち込む姿も描かれています。今後描いてみたいエピソードはありますか。
ぱくハムと仲良しのハムのことや、ぱくハムがなんで食べ物を好きなのか、ぱくハムの家族のこと、ぱくハムが住んでいる世界のことなどを気が向いたら描いていきたいです。
人間にも言えることですが、多くが楽しく思えるものや経験を通して生きていければ良いのですが、世の中にはつらいこともたくさんあります。その両面を描きつつ、読んでくださっている方がその人なりの気づきを得られるようなものを作ることができたらとても幸せに思います。
ーー今後の展望や目標を教えてください。
自分が楽しく絵を描き続けられることを第一の目標にしています。そのためにたくさん遊んで、運動して、いっぱい食べて、よく寝たいです! あとは面白い漫画を描けるようになりたいです!
ーー作品を楽しみにしている読者の方々へメッセージをお願いします。
ぱくハムを応援いただいている方々には頭が上がりません......。ですがメッセージを打ち込むためにちょっとだけ頭を上げさせてください。
ぱくハムを愛してくださり本当にありがとうございます。なんとかみなさんに楽しんでもらえるようなものを提供できればと思っておりますが、人間は飽きてしまうものです。飽きない限りは気長に楽しんでいただけたら嬉しいです。自分も飽きないうちは描き続けたいと思っています。これからもよろしくお願いいたします!
ー追伸ー
よかったらみなさんが食べたご飯もぱくハムに教えてあげてください。ぱくハムも献立に迷うことが多々あるらしいです。
取材・文=ネゴト / fumi