デートで男性は奢る?奢らない? マッチングアプリで運命の人と出会った男性の場合【著者インタビュー】
公開日:2025/10/25

今や数多くある婚活漫画。その多くが実体験に基づき、どのようにパートナーに出会い結婚に至ったかを描いているが、女性側の視点で描かれている作品が多い。その中で男性側が書き手となっているのが『恋愛経験ほぼゼロ!の僕がマッチングアプリで幸せを掴むまで』(角野ブタ煮/KADOKAWA)だ。筆者であり主人公ある角野ブタ煮さんは恋愛経験ほぼない上に、出会いがない状況に焦りを感じ、マッチングアプリによる婚活をスタート。しかし、なかなかスムーズに進まず、いわゆる“婚活疲れ”に陥っていた矢先、一人の不思議な女性と出会って……。
本作の魅力は角野さんのセルフツッコミのおもしろさと、他者への優しい視点だ。自分自身については絵柄もコミカル、鋭くツッコむ一方、出会った女性への視点は常にポジティブ。交際中の初々しい心情描写もときめきながら読むことができる。そんな本作はどのようにして生まれたのか、角野さんにお話を聞いた。
――アプリを使って半年後、結婚相手となるタイヤキさんに出会います。メッセージのやりとりの段階で他の女性との違いを感じましたか?
角野ブタ煮さん(以下、角野):全く違いましたね! メッセージも短文派と長文派に分かれると思うのですが、彼女の場合は適度な文章量で実際に話しているような感覚でした。また最後に疑問文をつけてくれたので、返信もしやすく初めてのお食事までスムーズにやりとりが進みました。他の方とは出会う約束をしてメッセージが止まることが多かったのですが、彼女とは出会う日までの1カ月間もメッセージを送り合っていました。
――「タイヤキさんと付き合いたい」と思うようになった決め手はなんですか?
角野:一番の決め手は「確かな安心感」ですね。ポジティブなところやかわいらしいところ、いろいろと素敵だと感じた点はありますが、何より一緒にいてこんなに居心地がいい女性は初めてでした。マッチングアプリだと、お互いのことを一通り話すと会話が途切れることが時々あって。でも彼女の場合はその沈黙も気まずく感じず、家族といるような友達といるような……不思議な安心感がありました。純粋に一緒にいると楽しくて、「もっと一緒にいたい」と感じたことも大きいです。
――よく話題になる「奢る奢らない問題」が本作中にも登場します。タイヤキさんとはスムーズにやり取りが行われたようですが、他の方との間に印象的なエピソードはありますか?
角野:「奢る奢らない問題」はよくありましたね。僕は基本的に自分からお食事に誘っているので、100%奢るようにしていましたが、中には「絶対に奢られたくない!」という女性もいて。結果お会計の前で押し問答になってしまい、ちょっぴり気まずい空気が流れたこともあります。当時は「奢ることが正しい」という自分の価値観を押し付けてしまいましたが、今思うと律儀で素晴らしい方だったと思います。
取材・文=原智香
