小学生なのに介護と家事——アルコール依存症の祖母を介護したヤングケアラーの壮絶な日常【著者インタビュー】
公開日:2025/10/24

「毒親」、「毒家族」。「毒」としか思えないような親や家族から、一体どうすれば自由になれるだろうか。そのヒントとなるのが、壮絶な実体験を描いたコミックエッセイ『さよなら毒家族 アルコール依存症の祖母の呪縛から解放されて私を取り戻すまで』(ゆめの/KADOKAWA)。
著者のゆめのさんは、4歳の時に父親が蒸発、母親を自殺で亡くし、母方の祖父母に引き取られた。平穏な日々が訪れるかと思いきや、祖母は重度のアルコール依存症だった。「普通の家族」を夢見ながらも、ゆめのさんは小学生の頃には“ヤングケアラー”となり、暴言を吐く祖母と、世間体を気にする祖父に苦しめられることになる。
「自分のせいで祖母は壊れたのか」と葛藤しつつも、現在の夫との出会いをきっかけに、ゆめのさんは「おかしいのは自分ではない」と気がつき、自分自身を取り戻していった。彼女はどのように幼少期を過ごし、今、家族にどんな思いを抱いているのか——。お話を伺った。
※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。
——アルコール依存症のおばあさまとの生活の中で、特に忘れられないのはどんな出来事でしょうか。
ゆめのさん(以下、ゆめの):泥酔して人としての生活が不可能になったときですね。家の玄関から出て外で寝込んでいたり、リビングで失禁して寝ていたりするのをいつも一番に発見するのが、学校から帰宅したばかりの私でした。その後始末をするのも、自分しかいませんでした。
——おばあさまはゆめのさんが生まれる前から重度のアルコール依存症だったそうですね。母を亡くし、祖父母の家に引き取られたゆめのさんは、小学生の時には祖母の介護を担う“ ヤングケアラー”になってしまいました。当時の具体的な日常生活の様子を教えてください。
ゆめの:家事を教えてもらったことがなかったので、自分の分かる範囲の最低限をこなしていました。洗濯物や皿洗い、祖母が飲んだ後の酒のゴミの片付け、自分の食事の用意などをしていた記憶があります。祖母は酔ったら基本寝たきりなので、寝室以外で寝ていたときは私が布団まで運んだり、部屋を汚していたときは片付けたりもしていました。
——「自分は子どもなのに、大人の役割をしている」と痛感した瞬間はあるのでしょうか。それとも、おばあさまのお世話をすることは、当たり前だと感じてしまっていたのでしょうか。
ゆめの:当時は祖母が酒を飲んで酔う、それによって生活が回らなくなることは当たり前だったので、それに伴い私が祖母の世話をしたり、家事をしたりするのも仕方のないことだと思っていました。全て当たり前で、疑問にも思いませんでした。
取材・文=アサトーミナミ
