アルコール依存症の祖母の呪縛から救ってくれた夫。植え付けられた、歪な価値観から解放されるまで【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/10/27

「毒親」、「毒家族」。「毒」としか思えないような親や家族から、一体どうすれば自由になれるだろうか。そのヒントとなるのが、壮絶な実体験を描いたコミックエッセイ『さよなら毒家族 アルコール依存症の祖母の呪縛から解放されて私を取り戻すまで』(ゆめの/KADOKAWA)。

 著者のゆめのさんは、4歳の時に父親が蒸発、母親を自殺で亡くし、母方の祖父母に引き取られた。平穏な日々が訪れるかと思いきや、祖母は重度のアルコール依存症だった。「普通の家族」を夢見ながらも、ゆめのさんは小学生の頃には“ヤングケアラー”となり、暴言を吐く祖母と、世間体を気にする祖父に苦しめられることになる。

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「自分のせいで祖母は壊れたのか」と葛藤しつつも、現在の夫との出会いをきっかけに、ゆめのさんは「おかしいのは自分ではない」と気がつき、自分自身を取り戻していった。彼女はどのように幼少期を過ごし、今、家族にどんな思いを抱いているのか——。お話を伺った。

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

——本書では、ゆめのさんの幼少期から大人になるまでの壮絶な日々が描かれていますが、救いとなるのは、旦那さんの存在です。本書を読んだ旦那さんの反応はいかがでしたか? また、ご自身の体験をエッセイにすることを伝えたときには、どのような反応をされていたのでしょうか。

ゆめのさん(以下、ゆめの):夫には私の過去を全て話しているので、「読みやすくまとまっているね」と言ってもらえました(笑)。私が過去をエッセイにすると決めたときは、「ゆめのが楽になるなら何でもやったらいい」と応援してくれました。

——そもそも、ゆめのさんのご家庭のことを初めて打ち明けたとき、旦那さんはどんな反応だったのでしょうか。

ゆめの:初めて家庭のことを話したときは、「そんなひどい家があるのか」ととてもびっくりしていました。けれど、それを重く受け止めすぎることはなく、それ以降も普通に接してくれたのがありがたくて、私も「話してしまって申し訳なかったな」などと思わずにいられました。

——旦那さんとの出会いは、ゆめのさんにとってどのような転機になりましたか?

ゆめの:実家を出て夫と暮らしていくにつれて、ずっと悩んでいた強迫性障害の症状がどんどん落ち着いていったので、夫との暮らしは私にとって、とても良い環境なんだなと感じました。

 祖母の影響で「私が悪い、私がおかしい」という考えに常に支配されていたので、夫の考えや価値観を聞いて、「そういう考え方もあるのか」と毎回新鮮な気持ちでした。祖母にされたこと、言われて嫌だったことを夫に話すといつも「それはおばあちゃんがおかしい、ゆめのは悪くないでしょう」と言ってくれるので、そのたび心が楽になっていきましたね。

取材・文=アサトーミナミ

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