家を出てもフラッシュバックする過去…物理的に距離を置いても、毒親の呪縛に苦しめられて【著者インタビュー】
公開日:2025/10/28

「毒親」、「毒家族」。「毒」としか思えないような親や家族から、一体どうすれば自由になれるだろうか。そのヒントとなるのが、壮絶な実体験を描いたコミックエッセイ『さよなら毒家族 アルコール依存症の祖母の呪縛から解放されて私を取り戻すまで』(ゆめの/KADOKAWA)。
著者のゆめのさんは、4歳の時に父親が蒸発、母親を自殺で亡くし、母方の祖父母に引き取られた。平穏な日々が訪れるかと思いきや、祖母は重度のアルコール依存症だった。「普通の家族」を夢見ながらも、ゆめのさんは小学生の頃には“ヤングケアラー”となり、暴言を吐く祖母と、世間体を気にする祖父に苦しめられることになる。
「自分のせいで祖母は壊れたのか」と葛藤しつつも、現在の夫との出会いをきっかけに、ゆめのさんは「おかしいのは自分ではない」と気がつき、自分自身を取り戻していった。彼女はどのように幼少期を過ごし、今、家族にどんな思いを抱いているのか——。お話を伺った。
※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。
——旦那さんとの結婚を機に、祖父母の家を出る決意をします。当時、家を出ることに葛藤などはあったのでしょうか。
ゆめのさん(以下、ゆめの):ずっと「祖母のことを守らなければ」と思っていたので、「実家を出たらもう守れないかもしれない」という部分には少しだけ葛藤がありました。ですが、夫との新生活が楽しみだったのと、やっと祖父母から解放されるという嬉しさのほうが大きかったです。
——新生活を始めて「救われた」と実感した出来事を教えてください。
ゆめの:実家を出る直前は、強迫性障害の症状で、何度も家の戸締りが気になってしまうため、外出するのが難しかったのですが、夫と暮らし始めてからは、変わりました。戸締りを気にせず自然に外出できるようになり、本当に救われたと感じました。
——本書では、家から離れて幸せになったはずのゆめのさんが、時折おばあさまのことを思い出して後ろめたさを感じている様子、過去に言われた暴言を思い出し苦しむ様子が描かれています。毒親・毒家族と距離を置くための工夫について、教えてください。
ゆめの:まずは、物理的に離れることが大事だと思います。それでも精神的に辛いままでしたら、カウンセリングや医療機関に頼るなど、自分一人で考え込まないようにするのが大事だと思います。
取材・文=アサトーミナミ
