「毒家族のそばにいると、自分の常識が歪められてしまう」——家族の呪縛に苦しんできたヤングケアラーを救ったカウンセリング【著者インタビュー】
公開日:2025/10/29

「毒親」、「毒家族」。「毒」としか思えないような親や家族から、一体どうすれば自由になれるだろうか。そのヒントとなるのが、壮絶な実体験を描いたコミックエッセイ『さよなら毒家族 アルコール依存症の祖母の呪縛から解放されて私を取り戻すまで』(ゆめの/KADOKAWA)。
著者のゆめのさんは、4歳の時に父親が蒸発、母親を自殺で亡くし、母方の祖父母に引き取られた。平穏な日々が訪れるかと思いきや、祖母は重度のアルコール依存症だった。「普通の家族」を夢見ながらも、ゆめのさんは小学生の頃には“ヤングケアラー”となり、暴言を吐く祖母と、世間体を気にする祖父に苦しめられることになる。
「自分のせいで祖母は壊れたのか」と葛藤しつつも、現在の夫との出会いをきっかけに、ゆめのさんは「おかしいのは自分ではない」と気がつき、自分自身を取り戻していった。彼女はどのように幼少期を過ごし、今、家族にどんな思いを抱いているのか——。お話を伺った。
※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。
——4歳の時に祖父母の家に引き取られたゆめのさん。おばあさまは重度のアルコール依存症でお酒を飲むと、何日も寝込んでしまい、ゆめのさんは小学生の時には“ヤングケアラー”にならざるを得ませんでした。同じ境遇の子どもたちに伝えられることはありますか。
ゆめのさん(以下ゆめの):家庭という狭い世界にいると、自分の家族が「普通」なのか判断が難しいと思います。もし、日々暮らしていて辛いなと思うことがあれば、学校でカウンセラーや先生などに相談してほしいと思います。
——ゆめのさんがおばあさまのことで悩んで初めて心療内科を受診したのは、結婚した後、おばあさまから物理的に離れたにもかかわらず、その呪縛に苦しめられていたときです。本書ではカウンセリングの場面についても描かれていますが、お医者さんの「…嫌いな人はね 『嫌い』でいいんですよ」「そして嫌いな相手にはね 頑張らなくていいと思う」という言葉がとても心に残ります。毒親・毒家族との関係に悩み、カウンセリングを受けるべきか悩んでいる人に伝えたい、実体験からのアドバイスはありますか。
ゆめの:毒親や毒家族のもとにいると、自分の常識というものがひどく歪められてしまうなと痛感しています。その歪みを正して楽に生きるためには、カウンセリングなどに頼ることも必要だと思います。
——ゆめのさんは壮絶な日々を歩んできました。過去のご自身に声をかけるなら、最優先で伝えたいのはどんな言葉でしょうか。
ゆめの:家庭や学校という閉じた環境で生きてきて、当時の私はとても視野が狭かったと思います。「自分だけが苦労を強いられなくていい」「自分だけが辛い思いをしなくていいんだよ」と伝えたいです。
取材・文=アサトーミナミ
