「挫折しっぱなしの人生だった」自分勝手な“毒家族”へ感じた怒りと、距離を置くことの大切さ【著者インタビュー】
公開日:2025/10/30

「毒親」、「毒家族」。「毒」としか思えないような親や家族から、一体どうすれば自由になれるだろうか。そのヒントとなるのが、壮絶な実体験を描いたコミックエッセイ『さよなら毒家族 アルコール依存症の祖母の呪縛から解放されて私を取り戻すまで』(ゆめの/KADOKAWA)。
著者のゆめのさんは、4歳の時に父親が蒸発、母親を自殺で亡くし、母方の祖父母に引き取られた。平穏な日々が訪れるかと思いきや、祖母は重度のアルコール依存症だった。「普通の家族」を夢見ながらも、ゆめのさんは小学生の頃には“ヤングケアラー”となり、暴言を吐く祖母と、世間体を気にする祖父に苦しめられることになる。
「自分のせいで祖母は壊れたのか」と葛藤しつつも、現在の夫との出会いをきっかけに、ゆめのさんは「おかしいのは自分ではない」と気がつき、自分自身を取り戻していった。彼女はどのように幼少期を過ごし、今、家族にどんな思いを抱いているのか——。お話を伺った。
※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。
——結婚を機に家を出たゆめのさんは、おばあさまと距離を置こうとします。ですが、おばあさまはゆめのさんから拒絶されても、自分のことばかり考え、ゆめのさんに寄り添おうとしません。特に心に残ったのは、電話口で「アンタに嫌われるのは自分の親が死んで以来の挫折だった」と言ったおばあさまに対する、ゆめのさんの「私は生きてきたこの人生 ずーっと挫折しっぱなしだったんだよ」という台詞です。この台詞に込めた思いについて改めて教えてください。
ゆめのさん(以下、ゆめの):祖母が、私に拒絶されたたった1週間を「挫折」と言い深く傷ついている声を聞いて、本当に私のそれまでの人生を全て否定されたような気がしましたし、馬鹿にされたような気持ちにもなりました。その台詞には「私の苦しみはそんな1週間ぽっちじゃ全然足りない」という、怒りの気持ちを込めています。
——現在ゆめのさんはおばあさまとは距離を置いて生活されているそうですが、今、おばあさまに対する気持ちはどういった形で心に収まっているのでしょうか。
ゆめの:大人になった今では「当時は祖母も苦しかったんだろうな」と思えるようにはなりましたが、それはそれとして、祖母のことはまだ許せていません。このまま距離を置くのがお互いのためだろうと考えています。
——ゆめのさんと同じように毒親・毒家族に苦しんでいる人たちに対して、今だからこそ掛けてあげられる言葉やアドバイスはありますか。
ゆめの:「とにかく一人で悩まないでほしい」「苦しまないでほしい」「あなたが悪いわけでは絶対ない」ということは強く伝えたいです。自分の気持ちを優先して生きることに、罪悪感を覚えないでいいんです。
取材・文=アサトーミナミ
