転生したゲームの悪役令嬢の運命を変えるため奮闘するも失敗…その様子を脳内で見ていた本来の悪役令嬢が覚醒し、華麗な復讐劇を始める!【書評】
公開日:2025/10/21

最終巻となる第6巻が2025年6月に発売され、堂々完結となった『悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~』(白梅ナズナ:漫画、まきぶろ:原作、紫真依:キャラクター原案/一迅社)は、どこまでも強く、人を惹きつける悪役令嬢の壮大な復讐劇を描いた作品だ。
目を覚ますと、とある乙女ゲームの悪役令嬢・レミリアに転生していたエミ。自分の悲しみと同時に、転生されてしまった本来のエミリアの存在がどうなってしまったのかも心配する心優しいエミにとって、レミリアは特別な存在であった。かくして悪役令嬢であるレミリアを幸せにすべく奮闘するエミは、シナリオの強制力の影響を受けつつも着々と幸せを築いていく。ゲームのヒロイン「星の乙女」が現れるまでは……。今までの努力も虚しく、断罪され意識が途絶えてしまったエミ。代わりに現れた本来のレミリアによる復讐劇が幕を開ける。
エミを断罪した嘘つきヒロイン「星の乙女」を完膚なきまでに打ちのめすため、覚醒したレミリアが復讐する姿は惚れ惚れするほど強く知的で格好良い。ヒロインであるはずの星の乙女のクズさが露呈するほど、邪悪な顔と微笑を使い分けるレミリアの姿にため息が出てしまう。彼女の原動力とは一体何なのだろうか。
ゲームのシナリオでは依存と執着の果てに負け犬となる悪役のレミリア。愛し愛されることを知らずに育った孤独な彼女を、ただただ幸せにしたかったエミ。そんなエミの思いと、言葉を交わすことはなくとも共有した時間が、最強の悪役令嬢へとレベルアップさせたのだ。幸福を願うエミと、奪われたものを取り戻すために戦うレミリア。ふたりの強い絆にぐっとくるはずだ。
レミリアは復讐を成し遂げられるのか? 嘘つきヒロインにはどんなざまぁな展開が待っているのか? レミリアとエミの絆の物語を最後まで見届けてほしい。
文=ネゴト / Ato Hiromi