異常なイビキ、体の片側から汗。脳腫瘍ができた父を襲った異変とは【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/10/28

 高校1年生のエミは、サラリーマンの父、専業主婦の母、中学2年生の妹と平穏に暮らしていた。しかしある日、父・ヒロシは脳にできた腫瘍が破裂した影響で、半身まひや失語症の障害を負ってしまう。さらに記憶能力が大幅に欠如し、家族の顔さえわからなくなってしまった。エミは突然の事態に戸惑いながらも回復を信じ、母親や妹とともに父親を支える日々を送っていくが、一緒に暮らすにつれて、徐々に厳しい現実を突きつけられ――。脳に障害を負った父親を支える家族の葛藤を描いた実話コミックエッセイ『家族を忘れた父親との23年間』(吉田いらこ/KADOKAWA)。

 子煩悩だったのにすっかり変わってしまった父との生活、そして今も抱えている後悔について著者の吉田いらこさんにお話を伺いました。

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※個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。初期症状など、詳細は医療機関等にご確認ください。

――本作はお父様に異変が起きてからの23年間のことを描いた物語とのことですが、発症当時のことはすぐに思い出せたのでしょうか?

吉田いらこさん(以下、吉田):すごく記憶に残っていたからこそ描こうと思った部分もあるので、特にメモをつけたりはしていなかったのですが記憶はありました。ただ思い違いをしていることなどもあって、母に当時のことを確認しながら描いていきました。例えば母は私からすると本当に頑張っていて不満を一切言わなかった記憶があるのですが、実はすごく泣いていたと言われて。妹には母が泣いていた記憶が強く残っているらしいのですが、私にはしっかりしていた記憶しか残っていませんでした。

――本を読み終わって、お母様はとても強い方だなと思ったのですが、それはお父様の病気を通して強くなられたのでしょうか。

吉田:母はもともと受け身でよく泣く人で、そして耐えるタイプでしたね。家族を引っ張っていく人ではありませんでした。母が強いと思ったという感想は、この作品はあくまでも私の視点で描いているものだからだと思います。娘の前ではすごく頑張っていたんだろうと思います。

――お父様は脳腫瘍が破裂して障害を負ってしまったということでした。脳腫瘍が発覚する前の症状として、頭痛や異常なイビキについて描かれていましたが、ほかに初期症状はありましたか?

吉田:体の片側だけしか汗をかかないというのがありました。ちょうど9月くらいで、私の高校の発表会に来てくれたんです。かなり暑い体育館の中にいたのですが、体の半分だけしか汗をかいていなくて。それが脳腫瘍によることなのか正確にはわかりませんが、父自身も「ちょっとやばいな」と思ったと言っていました。

取材・文=原智香

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