父の脳腫瘍が破裂!夜を徹した緊急手術の後、父の姿に感じたこととは【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/10/29

 高校1年生のエミは、サラリーマンの父、専業主婦の母、中学2年生の妹と平穏に暮らしていた。しかしある日、父・ヒロシは脳にできた腫瘍が破裂した影響で、半身まひや失語症の障害を負ってしまう。さらに記憶能力が大幅に欠如し、家族の顔さえわからなくなってしまった。エミは突然の事態に戸惑いながらも回復を信じ、母親や妹とともに父親を支える日々を送っていくが、一緒に暮らすにつれて、徐々に厳しい現実を突きつけられ――。脳に障害を負った父親を支える家族の葛藤を描いた実話コミックエッセイ『家族を忘れた父親との23年間』(吉田いらこ/KADOKAWA)。

 子煩悩だったのにすっかり変わってしまった父との生活、そして今も抱えている後悔について著者の吉田いらこさんにお話を伺いました。

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※個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。初期症状など、詳細は医療機関等にご確認ください。

――脳腫瘍が良性だと聞かされて安心したのも束の間、お父様の脳腫瘍が破裂して緊急手術になってしまいます。その時吉田さんは高校2年生だったとのことですが、それまでご家族の手術の経験はなかったのですか?

吉田いらこさん(以下、吉田):父はバイクが好きなのもあってよく怪我をしていたので、手術自体は何度かありましたが、ここまで大きな手術は初めてでした。

――手術を受けられた後にお父様と面会して、「こんなに小さかったっけ?」と感じる場面が作中にありました。なぜそう感じたのでしょうか?

吉田:頭は包帯でグルグル巻き、機械も繋がった状態で面会したので、なにがなんだかわからなくて。眠っているのか起きているのかもわからないし、近くにいるのが不思議というか、すごく距離を感じました。そういうショックで、父を小さく感じたんだと思います。

――お父様はご病気をされる前はすごく子煩悩だったと作中にありました。家族全体としては、どんな家族でしたか?

吉田:父は子どもが大好きで「仕事より子ども」というタイプだったので、本当によく遊んでもらいました。母は「仕方ないわね」って言いながら見守るような感じで。父が家族を引っ張ってくれていましたね。

取材・文=原智香

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