「きっと医療の力が解決してくれる」脳腫瘍が破裂した父の入院生活。高校生の娘が前向きだった理由とは【著者インタビュー】

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公開日:2025/10/30

 高校1年生のエミは、サラリーマンの父、専業主婦の母、中学2年生の妹と平穏に暮らしていた。しかしある日、父・ヒロシは脳にできた腫瘍が破裂した影響で、半身まひや失語症の障害を負ってしまう。さらに記憶能力が大幅に欠如し、家族の顔さえわからなくなってしまった。エミは突然の事態に戸惑いながらも回復を信じ、母親や妹とともに父親を支える日々を送っていくが、一緒に暮らすにつれて、徐々に厳しい現実を突きつけられ――。脳に障害を負った父親を支える家族の葛藤を描いた実話コミックエッセイ『家族を忘れた父親との23年間』(吉田いらこ/KADOKAWA)。

 子煩悩だったのにすっかり変わってしまった父との生活、そして今も抱えている後悔について著者の吉田いらこさんにお話を伺いました。

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※個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。初期症状など、詳細は医療機関等にご確認ください。

――脳腫瘍が破裂し、緊急手術を受けたお父様と会った後も、吉田さんは事態を楽観視していたと本作にはありました。それはもともとの性格がポジティブなのでしょうか?

吉田いらこさん(以下、吉田):ポジティブというより、現実が受け入れられていなかったんですよね。「こんな大変なことが自分の人生で起こるはずない、きっと良くなる」と思っていました。

――入院中に指差し表を作ったというお話もありましたが、それは病気やリハビリについて調べたのですか?

吉田:いや、ただ単に今は記憶が混乱しているんだろうなという思い込みからです。ドラマか何かで観たんですよね。母方の祖母が教師をしていたので、相談しながら作った記憶があります。

――お父様は3つの病院に入院されますが、お見舞いはどれくらい行っていたんですか?

吉田:最初にあった病院は同じ市内にあったので、母は平日毎日行っていましたね。私は結構忙しい部活に入っていたので、あまり行けなくて。「たまには会いにいかないとな」と思って、テスト前とか休みの機会に会いに行く感じでした。その次は家から離れた病院だったので、隔週で家族3人一緒に会いに行きました。

取材・文=原智香

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