記憶を失った父との生活がスタート。父の病気をきっかけに二人の娘の絆は強くなった?【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/1

 高校1年生のエミは、サラリーマンの父、専業主婦の母、中学2年生の妹と平穏に暮らしていた。しかしある日、父・ヒロシは脳にできた腫瘍が破裂した影響で、半身まひや失語症の障害を負ってしまう。さらに記憶能力が大幅に欠如し、家族の顔さえわからなくなってしまった。エミは突然の事態に戸惑いながらも回復を信じ、母親や妹とともに父親を支える日々を送っていくが、一緒に暮らすにつれて、徐々に厳しい現実を突きつけられ――。脳に障害を負った父親を支える家族の葛藤を描いた実話コミックエッセイ『家族を忘れた父親との23年間』(吉田いらこ/KADOKAWA)。

 子煩悩だったのにすっかり変わってしまった父との生活、そして今も抱えている後悔について著者の吉田いらこさんにお話を伺いました。

advertisement

※個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。初期症状など、詳細は医療機関等にご確認ください。

――脳腫瘍が破裂したお父様は、長い入院・リハビリ生活を経てご自宅に戻られます。これにあたって、姉妹で節約のためにできることを話し合うシーンがありました。吉田さん発信で考え始めたのですか?

吉田いらこさん(以下、吉田):そうです。母は専業主婦だったので、働く人が誰もいなくなるのはまずいんじゃないかと子ども心に思いまして。妹と「自分たちのできる範囲で頑張ろう」と相談しました。内容は「シャンプーを節約する」とかで、結局その時盛り上がっただけであまり実践はしなかったのですが(笑)。

――かわいいですね。そういうのって姉妹や兄弟の間で温度差があったりもすると思うのですが、吉田さん姉妹はもともと仲が良かったのですか?

吉田:小さい頃は喧嘩ばかりでしたが、高校生の頃には喧嘩をするようなことはなくなって普通に仲良くしていました。ただ、「父のことで絆が深まった」ということではなくって。お互い、父のことはあまり話題にしませんでした。今思えば、「普通の日常を送りたい」みたいな気持ちがあったのかもしれません。

――お母様や妹さんはこの作品を読まれているんですか?

吉田:読んでいません。というかこの作品を描いたことを内緒にしているんです。どうしても恥ずかしくて、言えていなくて……(笑)。

取材・文=原智香

あわせて読みたい