父の病気が理由で結婚できないかも? ショックを受ける娘を助けるために、母がしてくれたこと【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/5

 高校1年生のエミは、サラリーマンの父、専業主婦の母、中学2年生の妹と平穏に暮らしていた。しかしある日、父・ヒロシは脳にできた腫瘍が破裂した影響で、半身まひや失語症の障害を負ってしまう。さらに記憶能力が大幅に欠如し、家族の顔さえわからなくなってしまった。エミは突然の事態に戸惑いながらも回復を信じ、母親や妹とともに父親を支える日々を送っていくが、一緒に暮らすにつれて、徐々に厳しい現実を突きつけられ――。脳に障害を負った父親を支える家族の葛藤を描いた実話コミックエッセイ『家族を忘れた父親との23年間』(吉田いらこ/KADOKAWA)。

 子煩悩だったのにすっかり変わってしまった父との生活、そして今も抱えている後悔について著者の吉田いらこさんにお話を伺いました。

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※個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。初期症状など、詳細は医療機関等にご確認ください。

――吉田さんご自身が結婚を決めた時、パートナーのご両親から難色を示されるエピソードがありました。当時のことを改めて教えていただけますか?

吉田いらこさん(以下、吉田):すごくショックを受けました。当時は結婚する当事者二人が良ければそれでいいって思い込んでいましたし、反対される要素が自分自身にあると思っていなかったんです。妹の方が先に結婚したのですが、妹の結婚相手のお父様は生まれつき耳が聴こえない方でしたが、それも「そうなんだね」くらいで、我が家の中では終わっていた、ということもあります。

――それでも結婚に至ったのは、ご主人の頑張りがあったからですか?

吉田:どうでしょう?(笑) 漫画にも描きましたが、母は義実家の反応にも理解を示した上で、父の病気や症状がどういうものなのかを説明しに行ってくれました。あとは夫のお姉さんがすごく間に入ってくださって。弟の結婚にここまでしてくれるなんて本当に素敵な方だなと思いました。

――そうだったんですね。吉田さんは、今はご結婚されて、お子さんもいらっしゃるそうですが、親となった今だと、お父様のご病気を心配された義実家への見方も変わったりしましたか?

吉田:そうですね。やっぱり自分の身近にそういう人がいなかったら心配になりますよね。自分の子どもの幸せを思うからこその行動だし、結婚とはそういうものなんだなと今はわかるようになりましたね。

取材・文=原智香

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