ある日突然、元カレが兄に!? 激重な溺愛をしてくる彼との、ハラハラとキュンキュンが止まらないラブコメディ『はじめてのおにいちゃん』【書評】

マンガ

PR 公開日:2025/11/25

はじめてのおにいちゃん
はじめてのおにいちゃん(香純裕子/集英社)

 別れてからずっと忘れられない人がいる。そんな人と思わぬ再会を果たした時、あなたはどうするだろうか。それも、親の再婚によってその人が義兄となって現れたら……。

 そんなドキドキのコミックが『はじめてのおにいちゃん』(香純裕子/集英社)。突然、兄になった元カレとの焦れキュンラブコメディだ。

 春から高校生になる高村こころが主人公。シングルマザーの母親が再婚することになり、父親となる人と初めての顔合わせをしていた最中、こころの元カレで1つ年上の和泉蒼が遅れてやってきた。なんと蒼は父親となる人の息子で、これからこころの「お兄ちゃん」になるのだという。初めての彼氏だった蒼のことをつい意識してしまうこころ。そして意識しているのはこころだけかと思いきや、気まずい同居生活がスタートしてすぐに、蒼がこころと付き合っていた時の写真や、初めて一緒に帰った日にあげたアメの包み紙を今も大切に保管していたことを知る。「蒼先輩ってもしかして私のことけっこう好きでした?」「じゃあなんで別れたんですか!?」思わず蒼を問いただすこころ。「恋人は別れたら終わりだけど、兄妹なら一生縁は切れない」——そんな蒼の覚悟を聞いたこころは……。

 蒼のこころへの愛はかなり重い。その重さについニヤニヤさせられるのは私だけではないはずだ。こころが「合コンに行く」と言えばついていこうとしたり、こころの制服姿を「世界一かわいい!!」と写真を撮りまくったり、こころのいる教室までたびたび顔を出しては男子生徒を牽制したり。ときにこころから「キモい」と言われても蒼はめげない。「こんなに愛されるなんて羨ましい」と思わされるほど、とにかくこころは溺愛されている。だが、そんな蒼の態度にこころは困惑しっぱなしだ。こんなに愛してくれているならば、どうしてあの時自分はフラレたのか。今からもう一度やり直せないのか。それに、蒼はこころのことを大切にしてくれるが、妹扱いばかりだ。「妹としてじゃなくて私を見てほしい」「妹って言われるたびに元カノの自分が消えていくみたい」「付き合っていた頃の“好き”はもうなくなっちゃったのかな…」。そうやって思い悩むこころの姿に胸がギュッと締め付けられ、こころのことを応援したくなる。

 どう見ても両思いなのに、どういう訳かうまくいかないふたりの距離から目が離せない。「お兄ちゃんじゃなくて恋人がいい」と言うこころと、そんなこころの思いを「解釈不一致」と言う蒼。しかし、こころのクラスメイトのイケメンヤンキーの登場で蒼の嫉妬は大暴走する。おまけに、こころにも強烈キャラのライバルが登場し……。果たしてふたりはどうなってしまうのか。

 元カップルの兄妹にハラハラドキドキとキュンキュンが止まらない。溺愛お兄ちゃんとの近くて遠い恋の行方を、ぜひあなたも見届けてほしい。

文=アサトーミナミ

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