約15万円の椅子を経費で買うモラハラ園長と、自腹で画用紙を買う保育士。元保育士が語る、知られざる保育園の実態とは【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/5

 働くママやパパにとって必要不可欠な保育園。それなのに、園内がトラブル続きだったなら…。

 経費を私物化して約15万円の椅子を自分用に購入、アレルギーを起こしてつらそうにしている園児をガン無視。そんなモラハラ園長による信じられないエピソードを描いた漫画『保育園トラブル モラハラ園長と闘います』(たぷりく/KADOKAWA)。

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 園長のほかにも、園児を突き飛ばす保育士や、延長保育料を踏み倒そうとする保護者など、理不尽な人たち起こすさまざまなトラブルが登場します。

 本作のエピソードは、元保育士でイラストレーターの作者・たぷりくさんの実体験やフォロワーからの投稿を元に描かれたとのこと。その制作の裏側や、保育園の実態について聞きました。

——モラハラ園長は、子どもの安全を守るための防犯設備にお金を使わず、「腰が痛いから」と経費を私物化して約15万円の自分の椅子を購入。園児を思う気持ちがまったく感じられませんね…。

たぷりくさん(以下、たぷりく):はい。園の運営や資金繰りを気にして、保育環境や保育士の労働環境、子どものことを念頭に置かない園長を実際に見たことがあるので、そのときの不満をぶつけて、昇華させるような気持ちで描きました。

——「年長の先生が、画用紙の発注を渋られ自腹で購入した」というシーンがありました。 こういった経験はあったのでしょうか?

たぷりく:私が勤めていた園では、製作で使う材料や保育室で使う収納、おもちゃなどを、保育士が自腹で買うことはよくありました。他の保育士経験者からも、保育室に飾るものや季節の行事で使う節分の豆などは、保育士が自分で用意している…といった話を聞くことが多かったです。

——それは大変でしたね…。責任が重くハードワークである上に、自腹まで。保育園の運営はどこも厳しいのだと聞いたことはありますが、それほどだとは驚きました。

たぷりく:私が勤めたことのある園もやはり資金難で、水遊びの水を使うお金がなくてプールが中止になったり、保育士の休みを削ることでパートの保育士の出勤(人件費)を減らしたり……ということもありました。

取材・文=吉田あき

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