「猫しかいないが、ゆっくりしていけ」真夜中、悩みを抱えた人が迷い込んだのは…【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/16

 ねこと人間の絆を表現したねこ漫画にはほっこりさせられるもの。中でも、ねこが持つ温かみを柔らかなイラストで巧みに表現し、読者の心を癒やしているのが、漫画家・ねこまき(ミューズワーク)さん。今年10周年を迎えた代表作『ねことじいちゃん』(KADOKAWA)には、妻に先立たれた大吉じいさんと愛猫のタマの穏やかな暮らしが描かれており、目尻が下がります。

 そんなねこまきさんが手掛けたのが、「ねこ×グルメ」をテーマにしたねこ漫画『深夜3時のくろねこ喫茶』(スターツ出版)。ねこまきさんの新境地とも言える本作の舞台は、ねこが集い、悩める人間が迷い込むこともある“真夜中限定のくろねこ喫茶”。

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 かわいらしいねこの姿に癒やされながら、日常の中で感じるモヤモヤを軽くしてくれる本作はどんな経緯で誕生し、ねこまきさんはどんな想いを込めたのでしょうか。

――本作はねこが人間の言葉を話すなどのファンタジー要素にもワクワクさせられますが、ねこまきさんは特に、どんな点にこだわられましたか。

ねこまきさん(以下、ねこまき):一番悩んだのは、悩みを抱える人が「喫茶黒猫」に迷い込む導入です。最初は、真夜中にふと気がつくとドアの前に立っている…という始まり方が自然だと思ったのですが、描く中で私自身が少し物足りなく感じるようになってしまって(笑)。

――ご自身がウズウズしてしまったんですね!(笑)

ねこまき:だから、寝落ちして目を覚ましたら店の席に座っていた、布団の中で眠っていたのに気づいたら店内にいた…とか、色々なパターンを試したんです。

 その結果、気づいたら「喫茶黒猫」のドアの前に立っていて、中に入るとねこだらけ…という形が、やっぱり一番、読者も安心して世界観に入れるのでは? という考えに落ち着きました。

――物語に入り込みやすいのは、ねこまきさんの試行錯誤があってこそだったのですね。ちなみに、導入部分だけでなく、感動とユーモアのバランスも絶妙だと感じたのですが、そのあたりのバランス調節のために工夫されたことなどはありましたか。

ねこまき:そう言っていただけて、いま胸を撫で下ろしています(笑)。実際にはありえない設定だからこそ、私自身が「面白い!」と思うことを自由に表現させていただきました。読んでくださる方にも楽しさが伝わるとうれしいです!

取材・文=古川諭香

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