「自分には仕事しかない」と嘆く会社員が迷い込んだのは、ねこだらけの喫茶店!? 仕事との向き合い方に悩んだら…【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/19

 ねこと人間の絆を表現したねこ漫画にはほっこりさせられるもの。中でも、ねこが持つ温かみを柔らかなイラストで巧みに表現し、読者の心を癒やしているのが、漫画家・ねこまき(ミューズワーク)さん。今年10周年を迎えた代表作『ねことじいちゃん』(KADOKAWA)には、妻に先立たれた大吉じいさんと愛猫のタマの穏やかな暮らしが描かれており、目尻が下がります。

 そんなねこまきさんが手掛けたのが、「ねこ×グルメ」をテーマにしたねこ漫画『深夜3時のくろねこ喫茶』(スターツ出版)。ねこまきさんの新境地とも言える本作の舞台は、ねこが集い、悩める人間が迷い込むこともある“真夜中限定のくろねこ喫茶”。

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 かわいらしいねこの姿に癒やされながら、日常の中で感じるモヤモヤを軽くしてくれる本作はどんな経緯で誕生し、ねこまきさんはどんな想いを込めたのでしょうか。

――本作にはさまざまな悩みを抱えた人が登場しますが、「自分には仕事しかない」と悩む裕太さんというキャラクターに自分を重ねる現代人は多いだろうなと思いました。仕事との距離感の掴み方って難しいですよね。

ねこまきさん(以下、ねこまき):私も裕太さんと同じように、ほとんど仕事ばかりの毎日です。やっぱり仕事が好きなんですが、思うようにストーリーが浮かばなかったり、自分の描く絵にがっかりしたりして、「私には才能がない…」と落ち込むことはあります。

――職種の数だけ、仕事の悩みはありますよね…。もし、裕太さんのように仕事との距離感や向き合い方に悩んだ時、ねこまきさんとしては、どんな捉え方や向き合い方をすることが大切だと思っていますか。

ねこまき:どんな仕事の先にも、必ず「人」がいます。自分の仕事で誰かが喜んでくれているかもしれないと想像するだけでも、少し前向きになれたり、モチベーションのひとつになったりするかもしれません。…でも、正直に言うと、私は誰かにアドバイスできるような立派な人間ではありません。50年以上生きていますが、まだまだ未熟者です(笑)。

 ありがたいことに、漫画を読んでくださる方々のおかげで好きな仕事を続けさせてもらっています。
特に最近は、「多くの人に支えられているなあ」と感じることが増えました。そして、落ち込んだ時はいつもねこに助けられています。ねこたちとの何気ない毎日が作品のネタになり、気づけば描く気力をもらっています。

――ねこの存在が原動力になるの、とても分かります! 自分を「ダメ」と責める登場人物がねこの肉球の温かさに癒やされる本作のシーン、私も経験したことがあり、とても心に刺さりました。

ねこまき:肉球のぬくもりは、“癒やしそのもの”ですよね。我が家ではねこたちが“家族の潤滑油”のような存在です。ねこの話をする時は、みんな笑顔。家族喧嘩の最中、間に入って「やめてー!」と鳴く子もいました。

 その姿を見て、「喧嘩はねこをこんなに悲しませるのか…」と思い、ねこの前では喧嘩をせず、声を荒らげないようになったら、自然と喧嘩が減りました。

「この子たちのおまんま代を稼がねば!」と思うと、どんな日も頑張れます。

取材・文=古川諭香

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